さて、2023年もいよいよ終わろうとしている。
今年はゲームの当たり年だともっぱらの評判だが、たしかに個人的にも充実したゲームライフを送ったと思える一年だった。
このブログを始めた2022年はブログを書くことに夢中になっていたため、
プレイしたゲームはいくつかあるもののクリアまで到達した作品がほとんどなく、
よってGOTYを発表することができず、無念でもあった。
だが今年はゲーミングPCを買ったことで遊べるゲームの幅が広がり、小規模ADVを中心に数多くのゲームを遊ぶことができた。
そんな作品の中から、念願のGOTYを決定したいと思う。
第10位から順番に発表していこう。
2023年 年間GOTY TOP10!!
第10位 ドキドキAI尋問ゲーム
Unityのフリーゲームとして公開されたChatGPTを使用した作品。
自分が刑事役となって殺人容疑者のChatGPTを問い詰めて自白させる会話劇になっている。
あまりもプレイヤーが殺到したためChatGPTの使用料が跳ね上がり、公開から数日で遊ぶことができなくなった伝説の作品……と思いきや、
先日期間限定でプレイできたので、また機会はあるかもしれない。
AIをゲームに用いる可能性を見せてくれた作品でもあり、ストーリーとしてもひねりがあるどこか小粋な雰囲気が漂うゲームだった。
公開当時にあまりの面白さに一気に書き上げた感想記事もあるのでよければ読んでもらいたい。
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第9位 7 Days to End with You
言語解読ゲームはここのところ割と見かけるようになったが、この作品はそのはしりと言ってもいいかもしれない。
記憶喪失の主人公が目覚めると、目の前には聞きなれない言葉を話す女性が立っていた。
彼女の言葉を理解しながら物語の真相を解き明かしていくという作品。
謎の文字で書かれたセリフにふりがなが振れるようになっており、意味を推測して言葉をあてはめていくのだが、初めは文法すら分からない。
それが名詞なのか形容詞なのか前置詞なのかも判明できない中、手探りであれこれ試している内にハッと気がつく瞬間に出会う。
そうすると芋づる式に言葉の意味が分かっていき、彼女のセリフも理解できるようになる。
今まで味わったことのないような新鮮な驚きと爽快感に満ちたエキサイティングな経験だった。
プレイしたての興奮をつづった記事を書いているので、よければ目を通してもらいたい。
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作者のLizadryさんは最近では『Refind Self: 性格診断ゲーム』をリリースしており、ユニークな発想をもつゲーム開発者としてこれからも注目していきたいと思っている。
第8位 午前五時にピアノを弾く
Steamでフリーゲームとして発表されたローグライクテキストADV。
早朝に霧に包まれた森の中を散歩する少女が奇妙な光景に次々に出くわす不思議な雰囲気の漂う作品。
選択肢をえらぶことでパラメーターが増加し、一定値を超えないように調整しながら物語の続きを見ていくことで3種類のエンディングに到達できる。
散歩は幻想的なのだが、メインストーリーは地に足のついた筋書きで、切なくも温かい結末になっている。
コンプリートしても1時間30分くらいなので、年末年始ちょっとじんわり来る短めのゲームを遊びたいときに最適である。
感想は別途したためてあるので、気になる方はぜひご覧いただきたい。
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第7位 じゃあ、また
ゲーミングPCを買って最初のSteamセールだったスプリングセールで購入したADV。
1時間足らずでクリアできる作品なのだが、胸に染みるストーリーと、親しみやすいタッチで描かれるイラスト、美しい風景が印象的である。
もともとは海外、アジア圏の作品なのだが舞台を日本に置き換えても成り立つストーリーなので、ぜひとも映画化・ドラマ化してほしいと思っている。
主人公の少年がタイムトラベルをして、若い頃の母に出会い交流をはかる時間SF。
母はもう現在は亡くなっており、写真でしかその姿を知ることのできなかった存在となっていたが、誕生日に起きた奇跡によって、活き活きとした姿を目の当たりにし、言葉を交わすことができるようになった。
しかし出会えるのは一年に一回だけである。
貴重な時間をただおしゃべりして過ごすこともあれば、写真家である母からカメラの使い方を習ってシャッターを切り続けることもある。
この作品において写真は重要なアイテムであり、2人の過ごしたまぼろしのような時間がたしかにあったことなのだと教えてくれる役割ももっている。
この作品は3~4月の月間MVP作品にも選んでいるので、選評などもぜひ読んでもらいたい。
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第6位 パラノマサイト FILE23 本所七不思議
発売後にじわじわと口コミで広まっていった本作、とうとう感想記事を書かないまま今年が終わろうとしているが非常に印象的な作品だった。
自分がめったにやらないホラーなのだが、テキストADV好きとしてはこの作品は見過ごせないと思い、怖さを軽減すべく万全を期して発売日からプレイに挑んだのだった。
このゲームはかなり話題になったので文章が巧みな書き手が感想や考察記事を発表しており、それらを読んでいくうちにだんだん自分の意見が分からなくなってしまったのが正直なところだ。
もはや開き直って詳細はみなさんの記事を参照ください!と言ってしまおう。
やはり感想は記憶が鮮明かつ他の人の意見を聞いてしまう前に書くべきなのだと実感した作品でもある。
第5位 Coffee Talk
異世界のシアトルの片隅にある、夜しか開かないカフェ「Coffee Talk」を舞台に、吸血鬼やエルフなど様々な種族間の交流を描くADV。
プレイヤーはバリスタ兼オーナーとして客の会話に耳を傾けながら注文に応えてコーヒーやココアを淹れる。
会話中心のテキストADVなのだが選択肢はなく、できることは飲み物を提供するだけなのだが、不思議とこれが面白いのである。
初めて顔を合わせる客同士がだんだんと親しくなっていく様子や、カップルや親子の抱えた問題が解決していくまでの道のりを見守っていると自然と彼らに肩入れしていってしまう。
やがてあの2人はどうなったかなと来店を心待ちにしている自分に気がつく。
ここちよい音楽を聴きながら、ドリンクが注がれる音に静かに耳を澄ましていると穏やかでしみじみとした気分になってくる。
人にはまあ、いろいろあるよね……とファンタジー世界でありながら現実的な設定の客たちの悲喜こもごもにしたり顔で頷きながら、今日も常連客のためにトリプルエスプレッソを淹れるのであった――。
クリア直後に書いた感想記事は我ながらよく書けていると思うので、ぜひ読んでもらいたい。
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第4位 A Short Hike
このゲームを語る時、自分は「欠点のないゲーム」と表現する。
オープンワールドADVでゲーム性もあり、ほのぼのしていていながらクスッとするところもあり、難易度は易しく、短時間でクリアでき価格も安い。
いいところを挙げるときりがなく、目立った欠点というのが見当たらない。
誰にでも気軽におすすめできる。
この作品は2023年に初めてプレイしたゲームでもあり、あまりにも満足感があったため「今年は幸先のいいスタートが切れたな」と思い、結果、そのスタートダッシュの勢いのまま一年を過ごすことができた。
こうなると気になるのが2024年はなんのゲームで始めるかということなのだが、『A Short Hike』のような完璧な作品と並ぶくらいの未プレイの名作がまだあるのだろうか?
クリア後に書いた感想もぜひ読んでもらいたい。
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第3位 ファッションドリーマー
11月初めに発売された本作、現在プレイ時間が160時間を超えた。
正真正銘2023年もっとも長く遊んだゲームである。
今はかなり落ち着いてきたが、一時期などはこのゲームを遊ぶために毎朝早起きし、スキマ時間がちょっとでもあればSwitchを手にし、さらに少々夜更かししていた。
逆に考えるとクリアまでに100時間以上ある作品を遊ぶには、これくらいの勢いでプレイする必要があるのかもしれない。
自分が本作にこれほどまでに熱中した理由はさまざまあり、過去記事であまりふれてこなかった要素としてオンラインモードの存在がある。
Switchオンラインの加入不要で利用でき、他のプレイヤーとのゆるやかな交流が楽しめる。
自分がコーディネイトした服装や作成したアイテムに「いいね」をもらったり、アバターの服を選んでもらえたりするのだ。
同様に自分が他のプレイヤーに「いいね」したり服をコーディネイトすることもできる。
データの反映がリアルタイムではないためペースはどこかのんびりしており、簡略化されたポジティブなリアクションのみが送れるようになっているため、非常に平和である。
ひたすらオシャレでかっこいい/かわいい服をとっかえひっかえし、ポーズを決めて写真を撮って「いいね」をもらう。
このゲームのキャッチコピーは「今日も世界でほめられろ♥」なのだが、その通り世界中のプレイヤーから日々「いいね」が送られてくる。
名前が読めない文字の海外のプレイヤーに出会うことも多い。
ときには国境をも越えて、互いのコーディネイトを見て「センスいい!」と感心し、ひたすらほめあう牧歌的なオンライン空間はいわば桃源郷だ。
『ファッションドリーマー』には胸を打つ感動的なストーリーも手に汗握るアクションもないが、ただ自分の趣味を追求した結果、人からポジティブな反応をもらえるゲームというのはそうそうないだろう。
これからもアプデが予定されており、イベントの開催やシステム面の改善がアナウンスされているので、引き続き楽しんでいきたいと思う。
以前ゲームの紹介&100時間越えの時に書いた記事があるのでぜひ読んでもらいたい。
100時間越えの記事で一日のアクセス数がブログ始まって以来の数値を叩き出したのにはかなり驚いた。
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レジェンドとなった100時間越え記事
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第2位 The Cosmic Wheel Sisterhood
ADV好きの間ではかなり評判が高い本作だが、その面白さがかなりネタバレ厳禁の部分に凝縮されているため、なかなか語りにくくもある。
基本的にはテキストを読んで選択肢をえらんでいくゲームなのだが、プレイヤー自らがその選択肢を「作る」ことに寄与しているというのが特徴と言えるだろう。
オリジナルのタロットカードをデザインするのだが、ストーリーが分岐する際にその中から数枚がランダムで選ばれる。
リアルのタロットカードには「平和・渇望・恐怖」などそのカードが象徴するものが複数あるのだが、このゲームでもそれは同じであり、選ばれたカードによって提示される選択肢が異なってくる。
つまり、プレイヤーごとに同じ場面であっても選択肢自体が違うのである。
このゲームのすべての選択肢を見るのは周回プレイをしてもほぼ不可能に近いだろう。
そのため「どの選択肢をえらんだか」ではなく「どんな選択肢があったか」ということを語り合うのが面白い作品でもある。
2023年に遊んだゲームの中でこれほど他のプレイヤーの感想を聞きたい作品もなかった。
別の選択肢・結末があることを知ったからこそ、この作品の奥深さが実感でき、それが第2位という高い評価につながったという部分もある。
そして主人公フォルトゥーナの相棒となるエイブラマーは、見た目こそ恐ろしげだが愛嬌があり、「キャラクター・オブ・ザ・イヤー」を決めるならば迷いなく彼にそれを授与したい。
クリア後に書いた感想記事があるので、よければそちらも見ていただきたい。
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第1位 ファミレスを享受せよ
今年の2月にまだフリーゲームだったこの作品をプレイした時に、すでにGOTYは決まってしまった。
どんな面白い作品をプレイしてもそれは一度も揺るがず、2023年はずっと『ファミレスを享受せよ』のことばかり考えて過ごしてきた。
8月のSteam版発売、11月のSwitch版発売と話題にも事欠かなかったため、検索すれば連日誰かがこの作品について語っているという状況で、供給過多ですべてを追いきれないほどである。
多くの人がいろいろな角度から感想を語っていて、そのどれもに納得させられると同時に、なにかが足りないという感覚を常に持っていた。
それは自分が信念をもってこの作品をGOTYに選んだ理由を、明確に表せる言葉を未だに見つけられずにいるからだ。
それは理屈をつければどうにか説明することはできるのだが、もはや一種の直感に近く、「好きになるのに理由はいらない」という言葉で代弁できるかもしれない。
自分がこれまで接してきたゲームや小説、映画やドラマなどあらゆるフィクションから受けた影響によって形作られた、「こういうものが好きだ」という漠然とした感覚がこの作品を全肯定してやまない。
自分は『ファミレスを享受せよ』のストーリー・ビジュアル・音楽すべてが好きで、もはやそれは「好き」どころではなく「愛している」――しかも激しい愛――と言い表してもいいくらいである。
この自分でも持て余すくらいの熱烈な愛は、感想記事や、
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Steamレビューを書くことやX(旧Twitter)で関連記事をせっせとリポストしたりつぶやいたりという形で表現してきた。
この作品を広めるためになにかがしたいと思えるのは久しぶりのことだった。
果たして2024年にこのゲームに対して注いだものと同じくらい深くて重い愛を向けられるほどの作品に出会えるのか。
ぜひとも現れてほしいと思う。
そうしないと自分は永遠にファミレス・ムーンパレスから抜け出せなくなってしまうだろう。