『A Short Hike』(Switch/PS4/Xbox/PC/2019年)を遊んで思ったことは、これは老若男女問わず誰にでもおすすめできるゲームだということである。
操作はシンプルで覚えやすく、キャラクターはかわいらしくて、世界観はほのぼの。
ゲームオーバーもないし、敵も出ない。
「黄金の羽根」というアイテムを集めさえすれば、ゲームがあまり得意でないプレイヤーでもクリアできる難易度だろう。
1~3時間で終わるゲームだが、その短い時間に面白さがぎゅっと凝縮されており、非常に満足度が高い。
どんなゲームか
ジャンルとしてはオープンワールドアクションアドベンチャーにあたり、舞台となる風光明媚な島の中を、鳥である主人公クレアとなって歩き回ったり、飛び回ったりする。
操作はシンプルでレスポンスもよく、特にグライド(滑空)は爽快感にあふれており、眼下に広がる島や海を眺めながら悠々と飛んでいると、気分が晴れ晴れとしてくる。
ゲームの最終的な目標は島で一番高い山の頂上にたどり着くことであり、グライドと、島中の壁をどこでも登れるクライミング技術を駆使してクリアを目指していく。
移動距離を伸ばすために必要となるのが冒頭で述べた「黄金の羽根」というアイテムである。
0枚からスタートしクリアまでには目安として7枚が必要になるが、ゲームの上手な人ならそれ以下でも可能だろう。(自分は10枚でクリアした)
集めれば集めるほどプレイは楽になる。
この「黄金の羽根」を手に入れるために島中を巡りつつ住民の手助けをしたり、ミニゲームで遊んだり、コインを集めたりすることがゲームプレイの中心となっている。
ついつい探索したくなる世界
とはいえ、気が付けば羽根のことなど忘れて探索に夢中になってしまうだろう。
ビーチ、川、森、そして目的地となる山。
オープンワールドとはいえ全体的にはそこまで広い世界ではないのだが、起伏に富んだ地形のせいか次々に風景が移り変わっていき、見飽きることがない。
あっちには何があるんだろう?と未踏破のエリアには思わず足を向けたくなるし、そこに住民がいれば自然と話しかけたくなる。
そしてその道すがら宝箱やコインがあればどうしたって取りたくなるのである。
どれも最終的には「黄金の羽根」を手に入れることにつながるのだが、そこには決して「やらされ感」はない。
プレイヤーが気の向くままに行動した結果、気が付けばいつの間にか羽根が集まっている、そういったゲームデザインになっている。
本作はプレイしていてストレスというものがほぼない。
HPという概念もないため、「黄金の羽根」が足りずに力尽きて崖から落ちてもダメージを受けることはないし、そのまま滑空して地上に降りることも、羽根を探しに飛んで行ってしまうこともできるのだ。
主人公クレアの魅力
かわいらしい主人公のクレアについても話しておきたい。
都会から島にやってきたばかりのクレアだが、初対面の相手に対しても物おじすることはない。
好奇心いっぱいに住民にどんどん話しかけ、頼まれごとを聞いて仲良くなり、一緒にミニゲームで遊ぶ。
彼女のあどけなく、それでいてどこかあっけらかんとした口調も魅力的だ。
おつかいをしてあげた相手が何もくれなかった時、無邪気に「お礼はないの?」とプレイヤーの気持ちを代弁するセリフを口にしてくれたのには笑ってしまった。
それと同時にクレアの素直な性格がかわいらしいとも感じたやりとりでもあった。
そんな彼女は、時にはひたむきな一面も見せてくれる。
展覧会に出す絵について悩む画家に対して、つたない言い回しであっても懸命に励ましの言葉をかける姿は心に響くものがあった。
クレアが画家のことをあまりにも気にかけるので、思わず自分も彼(?)の行く末が知りたくなり、クリア後に島中を探し回ってしまったくらいである。
まとめ
『A Short Hike』は誰にでもクリアできる易しいゲームであると同時に、爽快感に満ちた操作性、そしてどこまでも探索したくなるフィールドを併せ持ったゲーマーにもおすすめできる作品でもある。
のんびり過ごしても3時間ほどで島中を巡ることができ、短い時間で濃い体験をしたい人にも向いているだろう。
自分は2023年初のクリアゲームが本作であり、思わずして幸先のいいスタートを切ることができた。
今年も引き続き面白いゲームと出会えることを祈りたい。