2023年1月は、これまでにないほど多くのゲームをプレイすることができた。
理由のひとつとしてはPCを買い替え、Steam作品が遊べるようになったことが挙げられる。
自分の好きなADVゲーム(特にインディーの小規模作品)がSteamには充実しており、よりどりみどり過ぎて何を遊べばいいのか迷ってしまうくらいだった。
と、言いつつもなんだかんだSwitchのゲームもプレイしていたのである。
今回はそれらのゲームについて、ざっと感想を述べ、最後に今月のMVPゲームを決定してみることにする。
紹介順は、プレイしたのが早いものからである。
- 1.『A Short Hike』(Switch)
- 2.『MINDHACK Demo』(Steam)
- 3.『Love Choice 択愛』(Steam)
- 4.『市立カクレザ図書館』(Steam)
- 5.『7 Days to End with You』(Switch)
- 6.『キラキラミラ 8人の遺伝子異常者と血の幽霊』(Steam)
- 今月のMVPは!?
- まとめ
1.『A Short Hike』(Switch)
小鳥の少女クレアが島で過ごすひと夏の小さな冒険を描いたオープンワールドADV。
別途紹介記事も書いているので詳しくはそちらを見てほしい。
gameandbooknadonado.hatenablog.com
これは良かった。
自分がプレイしたのはSwitch版だが元々はSteamで出ていたゲームで数年前の作品である。
当時から高評価の作品だったのでタイトルと概要だけは知っていたが、実際プレイしてみて、「なんでもっと早く遊んでいなかったんだ!」とつくづく思った一作である。
2.『MINDHACK Demo』(Steam)
タイトル通り『MINDHACK』というゲームのデモ版である。
Steamの登録を済ませて真っ先にプレイしたのがこれだ。
以前この記事にも書いたように、自分が2023年に発売されるのを期待しているTOP3に入る作品である。
gameandbooknadonado.hatenablog.com
約30分のプレイ、しかも以前にゲームメディアの公式配信で見ていたパートなので、話の流れも分かっていたのだが、自分で実際に遊ぶのはやはり一味違った手応えを感じた。
特に本作の要となる、悪人の精神をハッキングする際のタイピングゲームのパートは、自分が実際にその文字を打ち込むことでより没入感が増していると思えた。
「orehawarukunee」みたいなことを言っていた悪人を追い詰めていくことで、やがて「hitorinishinaide」と精神のもろい部分をむき出しにしていく様が実に真に迫っている。
ダークさと、どこかユーモアを感じさせるテキスト、そしてビジュアルの醸し出すポップでキャッチ―な雰囲気を含め、このDemo版では自分が『MINDHACK』で見たいと思っていたものを見せてもらったという気がした。
3.『Love Choice 択愛』(Steam)
ゲームメディアの記事で「ハードコア恋愛」「高難度恋愛ゲーム」と言われており、セールで200円以下だったので物は試しとばかりにプレイしてみたのだが、これがなかなかいいゲームだった。
全3話で、それぞれのストーリーは独立しており、第一話「ラブ・ゲーム」が20代と思われるカップルの出会い~3年目までをダイジェストに描いている。
第二話「愛・距離」は小学生の頃に出会い、大学卒業まで遠距離恋愛を続けるカップルの話。
そして第三話は結婚3年目の夫婦が登場する「愛・探偵」となる。
このゲームで描かれる恋愛そのものは「ハードコア」ではなく、ごく普通のカップルのエピソードであり、難しいとされるのは攻略方法である。
それについて詳しく述べることはしないが、なかなか面白い仕掛けだった。
難易度うんぬんは別として、自分は第二話「愛・距離」のストーリーが結構気に入っていて、物理的距離がある2人が電話で会話するシーンが特に好きである。
これは主人公とヒロインそれぞれの机に並んでいるアイテムを次々にクリックするだけで進むパートでゲーム的に目新しさはないのだが、会話を続けることで年月が経過していく。
2人が話すのは互いの夢に向かって今どんな努力をしているかの近況報告、共通の話題である小説家やラジオ番組についての雑談などである。
これらの会話を通してプレイヤーは主役2人の人となりをより深く知ることができ、その成長や逆に長年変わらない部分などを理解していくことになる。
そしてこのカップルの歩みについても、知っていくことになるのだ。
この『Love Choice 択愛』の各話はマルチエンディングであり、「愛・距離」にも複数の結末が存在する。
「愛・距離」のベストエンドは結構切ないのだが、ゲームをクリアした今となっては「あれで良かった」と思えるものである。
と、いうことでネタとして買ったのに意外に感動してしまった『Love Choice 択愛』だった。
4.『市立カクレザ図書館』(Steam)
図書館好きゲーマー待望(?)の司書体験ADV。
世界観はほぼ現代日本である架空の街カクレザ市の図書館で、見習い司書として働く一か月の物語である。
メインの業務は利用者のカードと本をスキャンし、貸し出し/返却手続きをすることである。
時折利用者が探している本を見つけ出すレファレンスサービスの対応もする。
基本的な要素はこれだけなのだが、この体験がめっぽう面白いのだ。
利用者カードと本をクリックすると、画面中央に利用者の情報と本の一覧が表示される(たぶんリアルの図書館もそうなっている)、そして本のタイトルをクリックすると右に書影と概要が表示される。
利用者にはそれぞれ名前があって、キャラクターの立ち絵も用意されている。
詳細プロフィールなどは見ることはできないのだが、短いやりとりの中で分かる口調や、なにより借りる本のラインナップを見て、おおよその人となりを把握することができるのが面白い。
この人、経営を勉強しているんだな、飛行機が好きなんだな、この小説家にハマっているんだな――そういった好みや関心を知ることができ、そうするとなんだか利用者の人生を垣間見ているような気までしてくるのだ。
そして一見関係ないと思われた利用者同士が、実は友人だったり家族だったりということを偶然知ることができるちょっとしたイベントもある。(ほんとにちょっとしている)
本作にはメインのストーリーとして、平穏な図書館を舞台にある企みが進行していたり、過去に起きた凄惨な事件が今も尾を引いているといったようなオカルト・SF要素がある。
これはゲームを進める上でのアクセントになっていて、のんびりと貸し出し業務をしていくうちに集中力が切れてしまうことをうまく防いでいると感じた。
クリア後に楽しめる「無限レファレンス」で果てしなくレファレンスサービスを提供し続けるのも面白かった。
本編では出なかったような難易度の高いフワッとした情報しか口にしない利用者が出てくることもあり、歯ごたえもあるのでレファレンスにハマった人にはぜひ体験してほしい。
5.『7 Days to End with You』(Switch)
言語解読アドベンチャーゲーム。
ある家で目覚めた主人公は、記憶を失っており、目の前の女性が話す言葉すら理解できなかった。
7日間の間、女性とコミュニケーションを取りながら言葉の意味を推測し、物語を読み解くことがゲームの目的である。
このゲームの存在を知ってからずっとプレイするのを楽しみにしており、ついにSwitch版が発売されたためその夢が叶ったわけである。
と、いうか発売の時点でSteamも使えるようになっていたのだが、そこまでハイスペックPCではないので、負担をかけないようSwitch版を購入した。
これが予想通り、いや予想以上に面白いゲームで、勢いのままに書き綴ったのがこの記事である。
gameandbooknadonado.hatenablog.com
言葉が理解できた瞬間の喜びはかなりのもので、その感動をぜひ多くの人に味わってもらいたい。
一見難しそうに見えるかもしれないが、本作を「高難易度」と言っているのは聞いたことがないため、ちょっとしたパズル・推理が好きな人なら問題なく楽しめると思われる。
自分はまだ一周しかしておらずベストエンドをまだ見ていないが、たどり着いた結末もそれはそれで切なくて良かった。
しかも、あてずっぽうであっても、ほとんどの単語の意味を埋めていたので、最後の彼女のセリフもなんとなくではあるが理解することができた。
言葉を理解するにあたっては、精度を高めていくタイプと、自分のようにガンガン意味をあてはめていくタイプと、プレイヤーによってもアプローチが変わってくるだろう。
それぞれの方法で、彼女の言葉を理解するために頭を悩ませ、この作品を楽しんでほしい。
6.『キラキラミラ 8人の遺伝子異常者と血の幽霊』(Steam)
ジャンルとしては推理アドベンチャーにあたる、
架空の国を舞台としたミステリであり、少年少女の中に時折「遺伝子異常」と呼ばれる一種の超能力を発現するものがおり、そういった子供たちを集めた中学校が存在するという前提で物語は始まる。
中学に入学した初日、8人の新入生は突如学校の中に閉じ込められ、校内放送で「ミラ」と名乗る自称「幽霊」から、一人の生徒に憑りついて他の生徒を殺すので、自分が誰だか当てて見せろと告げられる。
主人公の少年ミシェルは「メモライズ」という「見たもの・聞いたものをすべて記憶する」という遺伝子異常を持っている。
この能力により、登場人物のセリフや行動を正確に覚えていたり、先ほどまではあったものが今は無くなっているということが分かったり、探偵役として大いに活躍するのである。
誰が「ミラ」に憑りつかれているのか、次は誰が犠牲になるのか、そしてそのトリックは――というついつい先が気になる展開が連続する。
そして、事件のクライマックスでは生徒たちの過去の回想シーンが挟み込まれ、キャラクターを深掘りすることでプレイヤーの感情移入を誘う。
このゲームのスクリーンショットを見た人は、おそらく絵のタッチのダイナミックさにいささか気圧されるだろう。
しかし、実際にプレイしてみると、ストーリー部分ではまるでコミックを読んでいるかのように一つのセリフごとにスチルが変わっていき、人物の表情、そして構図によって作者の訴えたいことが十分に伝わってくる。
テキストが面白いことはもちろんだが、その大量のスチルによって臨場感が加わることで、非現実的な設定のストーリーでありながら、作品全体から力強い”説得力”のようなものがほとばしっているのを感じた。
特に真相が明かされる終盤の畳みかけは圧巻であり、本作がオートセーブの作品であることも含めて、ここは一気にプレイしてほしいところだ。
ここで終わりか、と思わせてもう一幕!という展開の連続で、息を詰めてストーリーを見守ってしまった。
ゲームオーバーもなく、探索パートもガイドが出ており迷うこともないので、ストーリー重視のミステリ好きゲーマーにおすすめしたい作品である。
今月のMVPは!?
さて、それでは全6作が出そろったところで、月間MVPを発表したい。
その作品とは!
『A Short Hike』!!
選定理由:この中でもっとも万人向けの作品である。簡単操作とほのぼのとした世界観は老若男女におすすめできる。
歯ごたえを求める人は「黄金の羽根」をいかに少ない状態でクリアするかというやりこみもでき、ゲームにあまり慣れていない人は、のどかな島の中をのんびり探索しながらコツコツと「黄金の羽根」を集めていくことでクリアを目指すことができる。
そしてクリアまで1~3時間とお手軽なゲームであり、値段設定も低めである。
よって、いいところしかない本作を月間MVPとしたい!
まとめ
さてさて、Steamという新たな遊び場を開拓したことも手伝って、やたらとゲームをプレイした1月だったが、果たして2月はどうなるだろうか。
今後も新作・旧作、とりまぜてプレイしていくつもりである。
よろしければまたお付き合いのほどをお願いしたい。