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雑記:『ゼノギアス』のボス戦曲「紅蓮の騎士」で勝負に臨んだあの日

今週のお題「試験の思い出」

あの日の自分の選曲、我ながら最高だった

 

かなり昔の話になる。

その夜、自分はとある重要な試験を翌日に控え、これ以上ないほどの緊張状態にあった。

長い間準備をしてはきたが、いくらしてもし足りない気がしてならなかった。

しかし、どうしたって試験は明日なのだ。

もう腹をくくるしかなかったのだが、なにか自分を奮い立たせるきっかけが欲しかった。

どんどん眠らなければならない時間が近づいてきて、なんとなくCDラジカセに目をやった。

このCDラジカセは時刻を設定して音楽を鳴らすことができるため、日頃から目覚まし時計代わりに使用していたのである。

 

 

自分は当時からテレビゲームが大好きであり、サントラCDも複数枚所持していた。

その中に、自分にとって今も昔も、おそらくこの先も人生のベストゲームであり続けるゼノギアススクウェア/PS/1998年)のサントラももちろん含まれていた。

 

 

ラジカセからCDが並んだ棚に目を移すと、その『ゼノギアス』のサントラが目に留まった。

「これだ!」

自分は天啓を受けたかのように、繰り返し聴いてきたそのCDを手に取った。

ゼノギアス』のサントラは2枚組である。

Disc2をケースから取り出しラジカセにセットし、目覚ましの設定ボタンを押す。

指定は3曲目――「紅蓮の騎士」

ゼノギアス』のボス戦曲である。

緊迫感に満ちた、重厚かつ勇壮な名曲であるが、爽やかな朝の目覚めにぴったりという雰囲気ではない。

しかし、勝負に臨むのにこれ以上ふさわしい選曲はない、と自分は確信を胸に眠りについた。

 

 

翌朝、自分は「ジャン!!」という「紅蓮の騎士」の入りで目を覚ました。

起き上がり、ラジカセを見つめた。

普段ならすぐに音楽を止めるのだが、その日はしばらくそのメロディに耳を傾けた。

 

 

聞いているうちにボス戦に臨むときの、大きく息を吸い込み座りなおし、前のめりにコントローラーを握ったあの感覚が蘇ってくるのを感じた。

敵を目の前にして、よし、ひとつやってやろうじゃないかと挑みかかるようなあの心持ちを思い出したのである。

試験がどうした、来るなら来い!

こっちだって全力を尽くしてきたんだ、乗り切ってみせる。

高揚感が体に満ちるのを感じながら、ラジカセの停止ボタンを押し、自分は立ち上がった。

負ける気がしない!

 

 

結果、その試験には無事合格することができた。

そしてそれから長い時間が流れ、いろいろなゲームをプレイし、多くのゲームサントラを聴いてきた。

しかし、自分が『ゼノギアス』のサントラ以上に聴きこんだCDはない。

ゼノギアス』は自分のベストゲームだが、そのサントラもまた自分のベストゲームサントラなのである。

そして、今でも「紅蓮の騎士」を聞くたびに、ゲームの苦労したボス戦や名場面とともに、あの日試験に臨む勇気を奮い立たせてくれたことを思い出す。

 

 

今ではもうあのCDラジカセは持っていない。

目覚ましもスマホにデフォルトで入っている曲をなんとなく使用してしまっている。

だが、もしまた人生の大事な局面がやってきたら、その日の朝は再び「紅蓮の騎士」で目覚めるのも悪くないかもしれない。

きっと何事もうまくいくはずだろう。