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NHK新番組「ゲームゲノム」第1回『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』感想

老若男女にゲームを文化として紹介する番組

 

10月5日よりNHK総合で新番組「ゲームゲノム」が始まった。

毎週水曜日23:00~23:30の放送となっている。

 

 

ゲームを文化として捉え、ソフトを作品として扱う教養番組であり、第1回はゲームクリエイター上田文人氏と俳優の山田孝之氏をゲストとして招いて『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』両作を「孤独と生命」という切り口のテーマで語った。

 

 

番組は、ゲーム映像を使ったゲーム紹介とテーマ「孤独と生命」の解説、MCの本田翼氏・ゲストの山田孝之氏のプレイ風景、上田文人氏を交えての3人でのスタジオトークなどを中心に構成されており、合計30分だったとは思えないほど中身が詰まっていて、個人的には見ごたえがあった。

 

 

第1回を6回も視聴した理由

自分はリアルタイム視聴した上、録画を5回ほど見返している。

それだけ観ればもう十分ではないかと思うかもしれないが、見直す度に新しい発見があるので、おそらくこの先も何度でも視聴するだろう。

 

 

とはいえ自分は特段「テレビ好き」というわけではない。

これだけ繰り返し観ているのは、今回取り上げられた『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』、そして番組内でも紹介された『ICO』を含む3作を、自分がクリア済かつそれぞれに深い思い入れがあるからだ。

特に『人喰いの大鷲トリコ』は人生のBESTゲームを選ぶとしたら5本の指に入るほどの名作だと思っている。

そして、これらの作品を生み出した上田文人氏は、自分がもっとも好きなゲームクリエイターなのだ。

 

 

自分にとって大切なゲームが、「あの」NHK総合で、全国の幅広い視聴者に向けて大々的に紹介される。

そのことだけでも十分喜ばしいのに、番組内容も非常に充実したものだったとなれば、いちファンとしては何度でも見返したくもなるのである。

 

 

上田文人氏の作品を推していきたい

このブログでも以前『ICO』を紹介したことがある。

 

gameandbooknadonado.hatenablog.com

 

この記事を書いた時、プレイ中のことを思い出すだけで高ぶる自分の感情をどう表現したらいいのか、どうやったら未プレイの人にこの作品の魅力を分かってもらえるのかとても苦心した記憶がある。

 

 

上田文人氏の3作品についてはすべて紹介するつもりでいたため、ブログを開設してこの半年の間、『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』の記事も何回も書きかけていた。

だがあまりに思い入れが深すぎて、どういった切り口で語ったらいいのか悩み、試行錯誤しているうちに今日まで来てしまったのである。

今回「ゲームゲノム」ではこの2作を「孤独と生命」というテーマで語っていたが、自分もこの番組をふまえつつ、オリジナルの解釈を加えてあらためて記事を書きあげたいと思う。

 

 

番組の視聴者層について

さて、この「ゲームゲノム」の視聴者はおおよそ次の4つに分けられるだろう。

 

 

1.ゲームをプレイ済み

2.プレイしてないが作品の存在は知っていた

3.作品自体知らなかった

4.そもそもゲーム自体にあまり馴染みがなく、教養番組として観た

 

 

第1回においては自分は「1.ゲームをプレイ済み」の立場である。

そのためこの「ゲームゲノム」が「4.そもそもゲーム自体にあまり馴染みがなく、教養番組として観た」というまったく前提知識がない層に向けてどのように『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』を紹介し、その魅力を語るのかという点でも興味深く視聴した。

 

 

”ネタバレ”に踏み込んだ放送内容

「孤独と生命」というテーマを語る上で、『ワンダと巨像』におけるとある巨像の攻略法や、『人喰いの大鷲トリコ』の終盤の名シーンなどが紹介された時には、ここまで見せてしまうのかと少々驚いたが、「ゲームゲノム」はゲームの販促番組ではないということを考えれば納得がいく。

 

 

番組の狙いは視聴者にゲームをプレイしてもらうことではなく、文化としてゲームを語ることである。

あくまで教養番組として「ゲームゲノム」を観る人たちに対して、この第1回の放送の中で最大限作品の魅力と核心に迫りつつすべてを完結させなければいけない。

そして数あるゲームの中からなぜその作品を取り上げたのか、他のゲームとなにが違うのかを視聴者に説明するためには、具体的なシーンを使っての説明が不可欠となるのだろう。

 

 

そもそも、普段ゲームで遊ぶという層でも『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』については、「2.プレイしてないが作品の存在は知っていた」「3.作品自体知らなかった」という人が多いのではないかと思っている。

番組を観た人なら分かると思うが、『ICO』を含めたこれらの作品は従来のゲームとはかなり異なる方向性を持っており、口コミで大ヒットするようなジャンルのものではない。

この「ゲームゲノム」でこれらのゲームの詳細を初めて知った人もたくさんいるはずだ。

 

 

プレイ意欲を刺激する”チラ見せ”

ふと以前どこかで読んだ、映画の予告編を作る際に、近年では一番いいシーンを惜しげもなく使うことが多くなっているという話を思い出した。

映画を観てもらうためには、まずはその作品のターゲットとなる人々の興味を引きつける必要がある。

クライマックスのシーンをあえて見せることによって、面白そう、その場面が見たいという気持ちを掻き立てて映画館に足を運んでもらう――そんな内容だったと記憶している。

 

 

例えば「ゲーム史に残る名場面」として紹介された『人喰いの大鷲トリコ』の映像は、ゲストの山田氏の言葉を借りるとすれば「友情が恐怖を上回った」ことを物語る感動的な場面である。

このシーンを取り上げたことで、視聴者に対して、このゲームが「少年とトリコの絆を描いた作品」であることがより強く印象づけられたと思われる。

そういった作品が好きなゲームプレイヤーは、これを機に『人喰いの大鷲トリコ』を遊んでみようと考えたかもしれない。

 

 

先ほどの映画の予告編と同じく、作品のターゲットなる人々に「自分が好きそうな作品だ」と思ってもらうことが第一歩なのだとすれば、この「ゲームゲノム」は販促を目的とした番組ではないが、受け取る側の立場によっては十分に販促たりうるのだと捉えることもできる。

 

 

一人でも多くの人にプレイして欲しい名作

自分はもちろん、『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』そして『ICO』が大好きなため、プレイヤーが一人でも増えて欲しいし、プレイしてこそ分かる番組内だけでは伝わりきらなかった作品の魅力をその人たちに知ってほしいと思っている。

あらためて、ゲームを文化として取り上げる「ゲームゲノム」第1回でこれらの作品を紹介してくれたことをとてもありがたく感じている。

 

 

ちなみに『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』は、PlayStation専用ソフトであり、現在PS4/PS5で遊ぶことができる作品となっている。

10月12日まで2作品のValue Selectionのダウンロード版がそれぞれ半額になっているようなので、気になっている人はぜひチェックしてみて欲しい。

 

 

次回以降の放送について

「ゲームゲノム」第1回を見逃してしまった人は一週間なら「NHKプラス」で見逃し配信をしているため、そちらもぜひ検討してみてもらいたい。

 

 

第2回は『ペルソナ5』だが、自分はこの作品は未プレイであり、おおまかな設定は知っているが、詳しいことはほとんど分からない。

そのためまずゲーム紹介の時点から楽しみにしている。

 

 

そして、プレイしていない分「ゲームゲノム」という番組をフラットな視点で観ることができるため、自分にとってこのTVシリーズがどういう位置づけになるのか、次回で明らかになるだろう。

全10回の放送を予定しているとのことで、現在公開されている紹介作品としては『逆転裁判』『ダークソウル』などがある。

今後どんなゲームが取り上げられるのか、続報にも期待したい。