『ディスコ エリジウム ザ ファイナルカット』(スパイク・チュンソフト/PS5/PS4/Switch/2022年)のプレイ日記Part3をお届けする。
本作が発売されて約一ヶ月が経ったが、大変スローペースでプレイしているためまだクリアはしていない。
しかしゲームを遊んでいない時もプレイ日記をどう書こうか常に考え続けているため、この一ヶ月間ずっと『ディスコ エリジウム ザ ファイナルカット』のことが頭にあった。
印象的なシーンは繰り返し思い浮かべることでさらに強烈に心に刻まれていき、一方で、これからの展開を何通りも思い描くことでこの先のプレイへの期待感は増している。
海外での高評価を受けて日本語化をずっと楽しみに待っていた本作であるが、正直、寒々しく薄汚れたマルティネーズの街を、酔っぱらいで記憶喪失の中年刑事になってさまようことがここまで面白いとは思ってもみなかった。
本作のパッケージには「政治的イデオロギー」や「ハードボイルドでハードコア」など日本のゲームではあまり見かけないフレーズが躍り、24の人格の「脳内パーティー」などの設定も難解に感じる人が多いかもしれない。
だが、自分はこの作品を「落ちぶれた主人公が再起をかけて相棒とともに殺人事件の謎に挑むストーリーのゲーム」だと解釈したことで、本作をシンプルに受け止められるようになり、その楽しさが分かってきた。
もしこの記事を読んでいて、難しそうだという理由で『ディスコ エリジウム ザ ファイナルカット』に手を出しかねている人がいたら、そこまで心配はいらないと言いたい。
莫大な文章量に対する覚悟が出来ているならば、他にもう怖いものはないだろう。
前回のプレイ日記はこちら。
gameandbooknadonado.hatenablog.com
※なお、このプレイ日記ではネタバレも含むため、未プレイ・プレイ中の人は注意してほしい。
41分署の面々との”洋画っぽい”会話
キムと共に事件現場を検分した主人公は、資金援助や身分証の紛失を報告するために所属している41分署と無線通信を試みる。
ここでは直接会話するのではなく、通称”オールドボーイ”と呼ばれる年配の通信士を介して伝言ゲームのようなやりとりが交わされる。
結果として主人公の要望はすべてはねのけられ、言われたい放題で散々な結果に終わるのだが、ここでの同僚たちとの会話がとても”洋画あるある”なので、荒くれ男たちが出てくるような作品が好きな人は特に必見である。
言い争いの板挟みになる”オールドボーイ”がキツイ言葉をなんとか穏便な言い回しで伝言してくれる様は気の毒だがおかしみが漂う。
相棒だったヴィクマール衛星警官が主人公に激怒しつつも、失態についてはメンバーに口止めするよう指示してくれたのは助かった。
もしかしていいヤツなのでは?という気さえしてきた。
少なくとも有能なのは間違いないだろう。
再登場を待ちたい。
キム・キツラギ、趣味を教えてくれ
なぜかゴミ箱から見つかった主人公の捜査報告書から失われた過去の手がかりを得ることができた。
それによれば主人公は優秀な刑事であったようだ。
キムと主人公は内燃四輪車の前で、しばしこれまでの仕事ぶりを振り返る。
その中で、ふと話が逸れ、時には人の命を奪う必要もあるほどの警察の仕事のつらさを、キムは趣味で気分転換することによって乗り越えていると口にした。
キムの趣味、一体なんだろうか。
興味深い話題に、思わず身を乗り出した。
…………
…………
いや、言わないんかい。
思わず心の中でツッコミを入れてしまった。
これは主人公とキムがまだそこまで親しくないから話してくれないだけで、いつか分かるのか、それとも最後まで明かされないのか不明だが、個人的にはぜひとも聞いてみたい。
四輪車やインスタントカメラについてどことなく自慢気にしているところからして、ガジェット好きで機械いじりなどを趣味としているのではないかと予想している。
主人公が庭師からもらったゴム手袋をしていたところ、「ガーデニングでもしてみたらどうか」と提案された。
まるで想像がつかないが、まっとうになった主人公がジョウロで水やりをしているところを思い浮かべると、それはそれで悪くない気がしてくる。
いよいよミステリーらしくなってきた
ホテルの裏に吊るされた死体。
初めはミステリーというより暴力事件なのではないかと思っていたが、主人公が吐き気を堪えて捜査ができるようになると、なるほどこれには「謎」がたしかにあるなということが分かってきた。
被害者の男は、港の警備員には似つかわしくないほど高価なアーマーを身にまとい、胸には無数の星をモチーフとした入れ墨を入れていた。
この入れ墨が恐らく重要なものとなるのだろう。
写真に収め、今後捜査に活用していくこととなった。
現場に残された無数の足跡を分析したり、死体を吊るすベルトを撃ち抜こうとしたり試行錯誤しながらも少しずつだが捜査は進んでいく。
まずは死体を下ろすべきだという結論に達し、港の人々の手を借りるために再び門番メジャーヘッドと対決することになった。
メジャーヘッド戦のゆくえ
さて、前回意地でも謝らないと決め、ゲームオーバーにはならなくとも負けた形で終わった門番メジャーヘッド戦の結末について語るときが来た。
封鎖された港の門へと向かい、スト破りのリーダーに話しかける。
いかにも腕っぷしの強そうな彼にメジャーヘッド戦の助っ人を頼むという選択肢があったが、断られてしまった。
だが、階段にいるコール・ミー・マニャーナから「ヤツの話を聞け」という助言を得ることができた。
おそらく、前回メジャーヘッドの話を30分くらい聞いたあとに出てきた「思想を受け入れる」を選択することで物語が進行するのだろう。
すさまじい差別主義の思想のため、本心を言うと受け入れたくないのだが、ここは形だけ同意したふりをすればいいと考えて自分を納得させた。
そして再びメジャーヘッドに話しかける。
セリフをどんどん進めていき、「思想を受け入れる」が出てくるのを待った。
しかし、なにかが違ったのか、それとも初めの一回しか選べないのか、その選択肢は出てこなかったのである。
そうか、それなら……
もう拳で語るしかない。
前回は勝てる確率が17%ほどしかなかった。
正直、今回も勝てるとはとても思えない。
だが、話し合いで決着をつけることができないのなら力に訴えてみるしかない。
いざ、勝負!
え?75%?
選択肢を選んだところ、確率がなぜかは分からないが上がってる。
いけるかもしれない。
高揚した気分のまま、メジャーヘッドに殴りかかった。
主人公の拳がメジャーヘッドの喉にヒットし、大男はよろめいて血を吐いた。
よし、入った!
薄明「やったな!右フックでとどめをさしてやれ!」
突然スキル「薄明」が飛び出してきた。
お前か……。
正直「薄明」はロクな事を言わないという印象があったが、たまにマトモなことを言うときもあり、少しばかり見直していたところがあった。
なにより、攻撃が当たって気分が浮き立っていた自分は、まんまその言葉に乗せられ、右フックを放った。
メジャーヘッドが身を起こし、その拳をガシッと受け止めた。
「薄明」は、ちょっと違ったみたいだな、というようなことを言い残し、消えていった。
「薄明」!お前ってやつは……!
メジャーヘッドは主人公の拳をギリギリと締め付けていき、耐久力が減り、また謝れ謝らないの問答が続き、そして――
初のゲームオーバー。
新聞記事風の画面が表示され、主人公が心臓発作で死亡したと書かれていた。
同僚たちは主人公のことをあれだけ酒を飲むヤツは見たことがないとか、心臓より先に心がだめになっていた、などと語っていた。
記憶喪失になる前の主人公について知ることができたのはケガの功名と言えるかもしれない。
直前のセーブデータからやり直すことにした。
Switchでプレイしており、いつもスリープ機能を使っていたのでこれが初めてのロードである。
すると突然靴を両方揃えるタスクを達成したというメッセージが表示され、スキルポイントが手に入った。
かつては頭脳派刑事を目指していたこともあったが、ここはもうスキル「肉体装置」にポイントを振るしかないだろう。
脳筋刑事のできあがりである。
確率85%。
一撃目が喉元にクリーンヒットする。
そして追撃。
ここで、先ほどは選ばなかった「一旦後退して蹴りを放つ」という選択肢を選んでみた。
主人公がかなり後ろに下がる。
間があった。
ハズレか?
不安に思ったその時、ダイナミックな動きで主人公が蹴りを放ち、メジャーヘッドはもんどり打ってその場に倒れ伏した。
勝った!!
主人公はハイテンションな決めゼリフを言いながら意気揚々とメジャーヘッドが守っていたボタンを押した。
これでいよいよ死体が下ろせるのだろうか。
次回、俺とお前と内陸帝国Part4へ続く
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