『バディミッションBOND』(任天堂/Switch/2021年)も発売からもうじき2年めを迎える。
しかし、開発陣はファンの心をとらえて離さない秘訣を知っているようだ。
12月25日、『バディミッションBOND(以下、バディミ)』は昨年発売されたドラマCD『ホリデー・バーレル』の同時試聴会を開催した。
これはクリスマスホリデーを迎えるチームBOND+ミカグラ島の人々を描いたオムニバスドラマCDであり、まさにクリスマスに聞くのに相応しい作品である。
ドラマCDについては以前まとめた記事があるのでよければ見てもらいたい。
gameandbooknadonado.hatenablog.com
同時試聴会は、『バディミ』では何度か行われてきた。
直近では『バディミッション BOND 大抗争! ミカグラカップ』で開催されているので、参加した人も多いかもしれない。
『バディミ』の同時試聴会名物と言えば、休憩時間と試聴会終了後の公式Twitterの更新だ。
試聴会でとりあげた作品に関するプラスアルファのエピソードなどが公開され、ファンの楽しみを、あるいは切なさを倍増させてくれるのがお決まりだった。
『ホリデー・バーレル』の同時試聴会においては、休憩時間にフウガ&コテツのエピソードが公開され、その後に新規ドラマCD『群雲経てば鬼を産む』の来春の発売がアナウンスされた。
これはフウガを中心とした、過去のマイカが舞台のストーリーとなるようだ。
これだけでもファンは(もちろん自分も)ざわついたのだが、試聴会終了後の発表の衝撃はそれをさらに上回るものだった。
ルーク・ウィリアムズ殉職。
大きく映し出されたその言葉を前に信じられない思いで、しばらく画面を見つめたままフリーズしたのは自分だけではないだろう。
続く文章の内容も、ショックのあまりロクに頭に入ってこなかった。
なんとか自分を落ち着かせ、何度も読み返してようやく概要を把握した。
こちらは『エンド・オブ・ファントム』という来春に出るドラマCDの告知であり、ルークの死をきっかけにはじまる新たな物語のようである。
時間差で、じわじわと胸の中にゲーム本編をプレイした当時の、あのヒリヒリとした感覚が蘇ってきた。
『ホリデー・バーレル』の楽しげな雰囲気に浮き立っていたが、『バディミ』が何度もプレイヤーを絶望の淵に突き落としてくる作品であったということが改めて思い起こされたのである。
だが同時に、どんな状況でも必ず救いがあったということも忘れずに思い出した。
ルークが、死ぬはずない。
自分が信じてここまで追いかけてきたこの作品が、
『バディミッションBOND』が、そんな物語を描くはずがない。
ゲームが発売した後も公式は絶えずコンテンツを出し続け、ファンの期待に応え続けてくれた。
それは時には贅沢すぎると感じるほどの充実ぶりで、作品へ込められた公式の愛が伝わってくる高いクオリティに歓喜することはあっても、一度たりともファンが失望させられるということはなかった。
だから今度だって、ファンの誰もが愛する主人公ルークをむざむざ死なせるはずがない。
その確信が心に芽生えた。
そこでようやく息をつき、あれこれとストーリーについて予想をめぐらす余裕が出てきたのである。
ここからは、ドラマCD『エンド・オブ・ファントム』にまつわる自分の予想を語っていきたい。
※ゲーム本編のネタバレを含むため、ゲームをクリアし、かつサイドエピソード「もうひとつの道へ」をすべて見た人だけ、ここから先を読んでもらいたい。
フウガは生きている
と自分は予想している。
すでに本編で死亡しているはずのフウガをメインにすえたドラマCD『群雲経てば鬼を産む』が出るのは、彼を深堀りしてファンに印象づけた上で、あらためて『エンド・オブ・ファントム』にラスボスとして登場させるためではないだろうか。
そもそもフウガが死んだと判断されているのは、焼け落ちるマイカ城の中に転落していった彼がその後一切登場しなかったからである。
死体も発見されていない。
『バディミ』では死んだと思われたキャラクターが実は生きている、ということが何度かあったが、フウガだけはそうはならなかった。
それは彼がかなり徹底した「悪」として描かれていたため、物語として救済する対象となりえなかったからだと自分は思っている。
しかし、そんな彼でも幼少期にはもっと人間味があり、いくつかのサイドエピソードではそれを垣間見ることができた。
『群雲経てば鬼を産む』ではそれをさらに掘り下げ、彼がなぜそこまで「悪」に染まったのか、その心情に共感はせずとも理解できるよう視聴者を導こうとしているのだろう。
そうすることでフウガをより一層魅力的な悪役として再登場させようとしているのではないだろうか。
フウガの目的
DISCARD=ファントムへの復讐。
マイカ城でフウガが最後に口にしたのは、自分を陥れたDISCARDへの報復である。
そのため生き延びた彼はまずDISCARDについて調べ上げたことだろう。
そしてボスがファントムであること、その縁者がルークであることもおそらく知ったはずだ。
ルークが狙われたのはそのためだと推測する。
”西の大国”
とはいえ、フウガが一人で復讐を成し遂げるのは難しいだろう。
『エンド・オブ・ファントム』の告知Tweetには「強大な仇」にアーロンたちが挑んだとある。
モクマ&チェズレイが世界征服を着々と進めている今、果たしてそこまで大きな勢力が残っていただろうかと考えた。
そこで登場するのが、ファントムの出身地である「西の大国」である。
フウガはなんらかの伝手で、西の大国と手を結んだのではないだろうか。
牢屋にいるファントムが駆り出された理由としては自分のせいでルークが狙われたから、という心情的なものもあると思うが、実質的な理由としては彼と関わりのある西の大国が一枚噛んでいたから、という可能性が考えられる。
西の大国にもっとも詳しいものとして、ファントムに白羽の矢が立ったのではないだろうか。
『エンド・オブ・ファントム』の意味
まるでファントムが死んでしまうかのようにも受け取れるが、自分は、彼が「ファントムという名前を捨てる」という意味ではないかと推測した。
西の大国との対決を経てついに過去と決別した彼が、最終的に国からもらったコードネームである「ファントム」という名前、そしてこれまでの生き方を捨てて新しい人生を手に入れる――そんな前向きなタイトルであってほしいと、願うばかりだ。
3作目が出るかもしれない
もし『エンド・オブ・ファントム』においてルークが本当に死亡しており、そしてファントムもエンド=死を迎えるという最悪なシナリオがあったとしたら、自分は未発表の3作目のドラマCDが発売されると考えている。
昨年発売されたドラマCDは『越境のハスマリー』『ヴィンウェイより愛をこめて』『ホリデー・バーレル』の3作品である。
なんとなく、今回も3作品が発売されるのかと思い、『エンド・オブ・ファントム』の告知がされた後しばらく待っていたが、それ以上の発表はなかった。
しかし、これは隠し玉として3作目があるのではないだろうか。
『バディミッション BOND 大抗争! ミカグラカップ』で昼公演と夜公演で別のルートとエンディングを描いたように、『エンド・オブ・ファントム』ではバッドエンドを描き、3作目でハッピーエンドを描くという可能性もあるかもしれない。
まとめ
さて、ここまで語ってきたことはあくまで自分の予想である。
全然当たらないかもしれないし、実は結構いい線いっているかもしれない。
発売される「春」というのが具体的に何月なのかは分からないが、それまであれこれ想像してみるのもまた一興だろう。
これほど楽観視できるのは、もちろん自分はルークが死ぬはずないと思っているからだ。
だって彼は言っていたではないか。
”ヒーローは死なないんだ”
と。