『ディスコ エリジウム ザ ファイナルカット』(スパイク・チュンソフト/PC/PS5/PS4/Switch/2022年)のプレイ日記Part5をお届けする。
それにしても、このゲームは面白い。
だがそれはジワジワ来る系の面白さであり、ゲーム冒頭からドカンとくるようなキャッチーなものではないとも思う。
プレイを進めて作品の舞台となるマルティネーズという街、そこで暮らす人々、そして主人公自身のことを知っていき、プレイヤーが頭の中で世界観を構築できて初めて、今起きているイベントが”面白い”ということが分かる、という作品なのではないかと感じている。
自分がこのゲームをプレイしている時の感覚としては、公式で言われている「RPG」よりは「ADV」に近い。
もっと言うと読書に近い。
とにかく文章量が半端ではない上、そこに込められている情報量もものすごい。
本作の舞台となっているのは架空の世界である。
そこには主人公が生まれる遥か前から続く長い歴史があり、それらに基づいて舞台となる”今日のマルティネーズ”という街が出来上がっている――ということが人々の話を聞いているうちに分かってくる。
しかし、知らない国の知らない歴史の話なので、一度聞いただけではよく理解できない。
頭に入るまで何度も読み返す。
また、自分は英語音声を最後まで聞いてからセリフを送っているので、文章を先に読んでしまってボイスが終わるのを待っているという場面もある。
そういう時にはもう一度文章を読む。
そんなことを繰り返しているうちに、ひたすら「読む」ことが多くなっていき、「ほぼ読書」のような状態になっている。
自分はアーキタイプ「神経質」でこれなので、「思想家」を選んでいて「百科事典」がしゃべりまくっていたらさらにゲーム進行がスローペースになっていただろう。
だが「百科事典」しか知りえない情報にも興味があるので、いつになるか分からないが2周目以降をプレイすることがあれば、ぜひ聞いてみたい。
前回のプレイ日記はこちら。
gameandbooknadonado.hatenablog.com
※なお、このプレイ日記ではネタバレも含むため、未プレイ・プレイ中の人は注意してほしい。
イスに座りたくない!
翌朝、ついに組合の長イヴラート・クレアと対面することになった。
コンテナを改造した部屋の中で彼は忙しくタイプライターを叩いており、こちらに気がつくと身を起こして頭の後ろで手を組んだ。
……偉そうである。
組合と対立するワイルド・パインズの交渉人ジョイスから、彼には気をつけろと言われていたのもあって、気を引き締めてイヴラートとの会話を始めた。
イヴラートは愛想よく主人公にイスに座るよう促してくる。
出た!!
自分はストーリーのネタバレを見ないように注意を払っているのだが、発売当初からあまりにも多くの人が言及していたので、このイスが「座ると死ぬ」ことは把握していた。
ダメージ床ならぬダメージイスなのだ。
そのため、イスに座るのを固辞して立ったまま話すことを希望した。
しかしイヴラートはそれでは申し訳ないなどとにこやかに言い、どうしても主人公をイスに座らせようとしてくる。
ネタは上がっているんだぞ!
などと刑事らしく言いたかったが、選択肢はどれもイスに座るほか無いものばかりだった。
しばらくイヴラートと睨み合った後、意を決して主人公をイスに座らせた。
即死――しなかった!
ホテルに泊まって全回復した後、朝一番でここへ来たため、少しくらいのダメージには耐えることができたのであった。
気を取り直してイヴラートとの会話を始める。
彼は主人公について、詳しく知っているかのように振る舞ってくる。
記憶喪失の主人公にとって、そしてプレイヤーにとってはぜひとも手に入れたい情報を、彼は把握しているとチラつかせてくるのだ。
スキルたちが冷静でいるようにと呼びかけてくるのを聞きながら、考え考え選択肢を選んでいく。
イヴラートは同時に、金もチラつかせてきた。
昨日の段階ならまだしも、キムのホイールキャップを質に入れて借金を返済した今となってはあまり意味を成さない行為だ。
金は受け取っていく方針だと以前書いたが、善意の金ならともかく、完全に見返りを求めてくるこの金は受け取れないと判断した。
そもそもまだ自分はワイルド・パインズと組合、どちらの肩を持つかハッキリ決めたわけではない。
この提案もはね退けると、イヴラートは主人公が無くした銃のことを持ち出した。
それは質屋で謎の女性が買っていったことまでこちらは摑んでいたが、その行方を探してやると彼は言い、とにかく何が何でもこちらに恩を着せようと画策しているようだった。
そうしないと話が進まないので協力を頼み、イヴラートと主人公は一時的にだとしても手を組むことになったのである。
そしてイヴラートは、メジャーヘッドに死体を下ろす手伝いをするよう、命令を下した。
それにしてもこのイヴラート・クレアという男――面白い。
俗物で、胡散臭くて、小面憎くて、明らかに悪役として登場してきて、あらゆる手で主人公を絡め取ろうとしてくる。
それに抗う主人公との間に散る見えない火花!
このシーン、できることなら実写で観てみたいくらいワクワクした。
さて、全然話が進んでいないが、今回はここまでにしておこう。
とにかくずっと即死イスの話がしたかったので、目的は達せられた。
いよいよ死体を下ろした後、なんと、犯人が判明する――!?
次回、俺とお前と内陸帝国Part6へ続く