11月2日に発売された『ファッションドリーマー』(マーベラス/Switch/2023年)。
開発はニンテンドーDS/3DSで人気の『ガールズモード』シリーズのシンソフィアであり、ジャンル名は「ファッション&コミュニケーション」となっている。
プレイし始めてから約1週間が過ぎ、このゲームを自分が一言で表すとすれば、
時間が溶ける
ということである。
Switchの電源を入れてコントローラーを握ったが最後、飛ぶように時間が過ぎていく。
自分のハマり具合に戦慄するほどである。
ここ最近は短時間でクリアできるゲームばかりを遊んでいたので、ひとつの作品にこれほどまでにのめり込むという体験が実に久しぶりだ。
ではなぜここまで自分が『ファッションドリーマー』に夢中になっているのか、その理由を説明したいと思う。
本作の魅力として次の3つを挙げたい。
1.コーディネイトしたり/されたりするのが楽しい
まず自分は『ガールズモード』シリーズはずっと気になってはいたのだがプレイしたことが無く、シンソフィアの作るファッションゲームを遊ぶのはこれが初めてだった。
Switchで『ファッションドリーマー』が出るという情報を見て、発売を待ち遠しく思いながらも果たして自分が楽しめるだろうかという不安も抱いていたのである。
しかし、蓋を開けてみるとそれは杞憂に過ぎなかった。
ゲームはまずアバター(ゲームでは「ミューズ」と呼ばれている)作成から始まる。
ボディタイプとしてAタイプ/Bタイプから選択するのだが、これは分かりやすく言うと女性型か男性型である。
そして体格や髪形、目の形などを選び終わるといよいよゲームがスタートする。
自分が初めに作成したアバターはこちらである。
『ファッションドリーマー』の一般的なアバターのイメージよりもちょっとリアルなキャラデザで、大人っぽい雰囲気にしてみた。
たぶん多くの人が思い浮かべるのはこっちの方だろう。(※NPC)
アバターを作成するとチュートリアルが始まるのだが、これが結構ざっくりとしていているので、画面下に出る操作ガイドやTIPSを見ながら徐々に体で覚えていく感じである。
服はNPC(チュートリアル終了後オンラインであれば他プレイヤーのアバター)を見つけて「いいね」することでコーディネイト(作中では「ルカット」と呼ばれている)一式が丸ごと手に入る。
「いいね」はAボタンを押すだけであり、対価は一切いらない。
また、ポップアップエリアに出る新作アイテム一覧を「いいね」することでいくらでも自分の手持ちに加えることができるのである。
アイテムを入手したら、気が済むまで服をとっかえひっかえして自分好みのファッションを完成させることができる。
そして、街にいるNPCやチュートリアル終了後にオンライン(Switchオンライン加入は不要)に繋げば他プレイヤーのアバターの服装も自分好みに変えることができるのである。
ただ、NPCやアバターには好みの色や欲しいアイテム、目指したいファッションのジャンルなどの設定があり、たとえばこのNPCは「ローファーをつかったコーディネイト」を望んでいる。(画面右上)
その要求通りのコーディネイトを完成させれば、ポイントやミニゲームであるビンゴができる消費チケットなどが手に入る仕組みになっているのである。
他プレイヤーのアバターをコーディネイトする時には、相手の希望と自分のセンスとのすり合わせすることになるが、これがとても面白く、エキサイティングである。
このファッションを見たらプレイヤーさんは喜ぶかな、驚くかな、とワクワクしながらああでもないこうでもないと服をコーディネイトする体験は他にはできないものである。
そしてこのゲームでもっとも面白いと自分が思うのは、他プレイヤーにコーディネイトをしてもらう要素である。
なにかしら縁があった相手は「マイワールド」というアバター一覧に表示されるので、そこからコーディネイトをお願いできる。
また、通りすがりの人が自分のアバターをコーディネイトしてくれることもある。
ちなみに自分の好みのファッションはこんな感じである。
せっかくなので他プレイヤーの方にリクエストしてコーディネイトしていただいたファッションを紹介したい。(掲載許可はいただいている)
自分のアバターは黄色が好きでかっこいい系を目指しており、スカートが欲しいという設定にしているので、みなさんそれぞれの解釈でコーディネイトをしてくださったようだ。
同じアバターでもプレイヤーによってこんなにも雰囲気が変わってみえることに驚く。
大切なアバターのファッションを他のプレイヤーの方が一生懸命考えてくださっていることが単純にうれしく、また、自分にないセンスにふれることは刺激にもなる。
このコーディネイトしたり/されたりはコーディネイトしてもらった側が良いと思ったら「いいね」「ありがとう」のボタンを押すだけで完結するものであり、依頼の際にもチャットなどは存在しない。
公式よれば個人情報を出さないためあえて交流手段を限定して、低年齢のプレイヤーなどが安全にプレイできるようにしているということである。
しかしこの褒め合うだけのゆるいオンライン要素が実に平和で、個人的にはとても居心地がいいと思っている。
2.アイテムクリエイトの奥深さ&マイショールームでトレンドを作る
コーディネイトをしていると、「あのアイテムさえあれば……」と思うことがたびたびある。
基本的には「いいね」するだけでアイテムは手に入るのだが、「このデザインはいいのだけれど違う色だったらいいのに」というようなシチュエーションが出てくるのだ。
そんな時は「アイテムクリエイト」ができるのである。
ベーシックなアイテムはポイント消費、レアアイテムはガチャで型紙が手に入る。
それを元に自由に配色を変えることが可能となるのだ。
実際にアバターに着せた様子を見ながら作成することができる。(Lスティック押し込みで切り替えられる)
そしてなんと細かい色調整までできるのである。
作成したアイテムは服のストックに入り、もちろん自分だけではなくNPCや他プレイヤーのアバターにも着せることができるのである。
そしてこの自作アイテムは誰でも入ることのできる「マイショールーム」と呼ばれる仮想店舗に陳列することができ、訪れた人が気に入って「いいね」して手に入れ、着てくれればちょっとした流行をつくることさえ夢ではないのだ。
また、このショールームは自分がどんな服を好きであるかをアピールできる自己表現の場でもある。
オンライン上にいるアバターはもしかすると他プレイヤーがコーディネイトしていて自分の選んだものとは違う服装でいる可能性があるのだ。
だが、自分しかさわることのできないショールームは、いわばそのプレイヤーの顔である。
なにかしらの縁があり(もしくはランダムで)自分に興味を持ってくれてショールームに来てくれたプレイヤーは、陳列された服のラインナップを見て要るか要らないかを判断するとともに、そのディプレイをした人間がどんな好みを持っているのかもある程度想像していることと思われる。
「いいね」してショールームをほめてくれたりアイテムを持ち帰ってくれたプレイヤーは、おそらく趣味の合う人なのだろうなと勝手に解釈し、ささやかな交流にちょっと温かい気持ちになったりもしている。
3.複数アバターを使い分ける面白さ
本作ではアバターを4体まで作成することができる。
自分は2体目のアバターとしてBタイプを作成した。
このゲームのちょっと残念なところを挙げるとすれば、AタイプとBタイプとで着られる服が限定されているところである。
これまでひたすら「いいね」して集めてきたBタイプの服は出会ったNPCや他プレイヤーのアバターをコーディネイトする際にしか使えなかった。
だが、手持ちがそこそこ増えてきたためせっかくだから自分でも着られるようにアバターを作ってしまおうと思い立ったのだ。
これが功を奏して、なにやら今まで使っていたのとは違う脳の部分が刺激されるような新鮮な気分になった。
タイプB向けのアイテムはプレイヤー数も少なめなようでバリエーションに欠けることも多いため、理想のファッションを具現化すべくアイテムクリエイトも積極的にするようになった。
ユニークな服を希望しているという設定にしたため、派手でちょっと変わったアイテムをどんどん作って着せた。
また視野を広げるためにBタイプのコーディネイトもリクエストさせていただいた。
ただ2体のアバターを作成して分かったことだが、コーディネイトをリクエストした時に使っているアバター情報が相手のプレイヤーにそのまま行くのではなく、タイムラグがあるようなのである。
途中で自分がアバターを切り替えたりすると、Bタイプのコーディネイトをお願いしたいのにAタイプの依頼が行ってしまったりするようなのだ。
今でもどういうタイミングで判定されるのか不明で、これはちょっと分かりづらい点だったのでなにかしらのアナウンスが欲しいところである。
まとめ
とにかく今は寸暇も惜しんで『ファッションドリーマー』をプレイしている。
本当に久しぶりにこれだけ長時間ゲームを遊んでいる上、まだやりたいこともたくさんあるので本当に底なし沼のようである。
本作には「インフルエンサーランク」というものがあり、プラチナインフルエンサーになるとスタッフロールが流れてひと段落着くようなのだが、自分はまだそこに達していない。
ひとまずプラチナインフルエンサーを目指してはいるのだが、効率よりも理想のコーディネイトを実現したり、他のプレイヤーにコーディネイトしたり/されたりすることが楽しくて仕方ない。
ゲーム内に明確な目的やストーリーがないことで本作は賛否両論を巻き起こしているようだが、自分にとっては面白い作品だ。
おそらく2023年で一番長時間プレイしたゲームになるだろう。
最後にSNSでそこそこ好評をいただいたBタイプのジョージおじさんのフォトで終わりにしたい。