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アニメ『シェンムー』第5話感想 横須賀の愛すべき友たち

涼のリュックサックは第1話で空手大会に行く際にも登場している


春アニメ『シェンムー・ジ・アニメーション』第5話が配信された。

ここでは原作ゲームを最新作『シェンムーⅢ』まで全てクリア済みの自分から見た、アニメ版の感想を語っていこうと思う。

 

第4話の感想はこちら。

 

gameandbooknadonado.hatenablog.com

 

第5話では貴章との勝負から香港への旅立ちまでが一気に描かれており、オリジナル要素もふんだんに盛り込まれ、スピーディーかつダイナミックに物語が展開する。

 

 

大活躍する麻衣とゴロー、そしてマーク

3人の奮闘は完全にアニメオリジナル展開である。

 

彼らが一体どうするつもりなのか、初見の立場でワクワクしながら視聴できた。

それにしてもOPでフォークリフトが目立っているとは思っていたが、こんな風にクローズアップされるとは予想していなかった。

シャッターを破壊しながら17番倉庫に突撃するシーンや、港を疾走する様はアクションとしても派手で面白い。

 

思い切りの良いマーク、ビンタと肘鉄を炸裂させる勝ち気な麻衣ちゃん、コミカル要員かと思わせておいて実は一番のキーパーソンであったゴロー。

この3人の協力は、涼が父・巌の「愛すべき友を持て」という遺言を活かし、実践した結果のようで感慨深い。

 

麻衣ちゃんとゴローの結婚報告に、「でもゴローだぞ」という涼の口調がゲーム版より少しマイルドに感じられたのは、きっと彼の活躍に感謝する気持ちが込められているからなのだろうと解釈している。

 

 

「必ず戻ってくる」

涼が再びこの門をくぐることをファンとしても待ち望んでいる

 

香港へ旅立つ涼は、芭月家の門の前で福さんと稲さんの見送りを受ける。

 

しんみりする2人に向かって、涼は微笑みながらこう言った。

「やめてくれよ2人とも。俺は必ず戻ってくる。本当のことを突き止めてな」

ゲーム版では、門前のシーンは見送りの代わりに涼が一人無言で拳を握りしめる姿が描かれていた。

自分はそこに、二度と帰れないかもしれないという涼の覚悟が見える気がしていたのだ。

 

だが、少なくともアニメ版の涼は必ず横須賀に、彼を待つ人たちの元に帰ってくるのだということを、キッパリと断言してくれたのだ。

 

アニメの涼がこのセリフを口にできたのは、旅の目的がゲーム版の「復讐」ではなく「父の潔白を証明するため」という前向きな理由だったからかもしれない。

父を信じたいという涼の立場は完全に「善」であり、その行動が正しいと感じられるからこそアニメ版では身近な人たちも積極的に協力してくれたのではないだろうか。

 

そして涼も素直に彼らに頼ることができ、再び帰ってくると彼らに約束することができたのだろうと思える。

 

ゲーム版で涼の「復讐」という目的に一貫して反対しつづけた家政婦の稲さんが、アニメ版では別れのシーンで涼の手を握ってその無事を祈ってくれ、応援してくれる存在となっているのが印象的であった。

 

 

横須賀編ヒロイン・原崎

よく見るとエンディングにも映っているお守り

 

恐らく今回で原崎の出番は終了であると思われる。

彼女はアニメ版において一番深堀りされたキャラクターかもしれない。

 

アニメオリジナル要素として描かれた原崎の自室は、レトロな花柄のゴミ箱など昭和感が漂っており、華やかさよりも生活感が前面に出ていてリアリティがあった。

祖母と囲む食卓についても、背景のキッチンや床に置かれたストーブ、ごく普通のメニューであるカレーライスなどが丁寧に描かれていたのが印象的だった。

 

彼女のまわりを説得力のあるディティールで囲い込むことによって、原崎という一人の少女を、いかにもどこかにいそうな実在感のあるキャラクターとして表現することに成功していると感じた。

 

また、アニメ版の原崎は性格もかなりアクティブだ。

涼を見かけると話しかけてきて、手伝いを申し出てくれるなど積極的な行動を見せる。

また、2人の関係はゲームよりも親しげに描かれており、会話にも時折ユーモアが交ざるなど、同級生であるということが納得できるやりとりが心に残っている。

 

フランクな間柄の2人であるが、原崎は同時に涼に恋する少女でもあり、話を続けたいあまりに無理やり話題をひねり出したり、夜遅くまで道端で涼の帰りを待っていたりするけなげさも持ち合わせている。

 

原崎がお守りを渡して言った、「また、会おうね」にはいろいろな感情が込められていたのだろう。

「相談」の内容を聞くことがないまま旅立つことになった涼は、横須賀にまた帰ってくれば彼女に会えると思っているからこそ、「ああ」という一言だけで会話を終わらせてしまったのかもしれない。

 

重要なことを言い出せないまま別れを告げるシーンは、アニメ版の原崎が活発であるからこそ、いっそう切なさが増す。

 

 

最後に

全13話のうち、5話で横須賀編が完結した。

 

重要ポイントは全ておさえた上で、アニメオリジナルのシーンまでふんだんに盛り込んでおり、ファンとしても大変楽しませてもらった。

ゲーム未プレイでも面白いと思ってくれる人も多いようで、改めて『シェンムー』という作品の魅力に気づかされたような気分である。

 

5月3日からは関東圏のみだが地上波のTOKYO MXでも放送が始まり、火曜日の19:00というゴールデンタイムであることから、より多くの視聴者が獲得できそうで期待がもてる。

 

第6話からはいよいよ『シェンムーⅡ』のストーリーを描いた中国編がスタートする。

OPではすでにジョイやレンの姿が見られるが、彼ら以外にどのキャラクターが登場するかも楽しみだ。

物語としては、まずは陳大人からもらった紹介状の中身を読むところから始まると思うのだが、どうなるだろう。

イベント盛りだくさんの『Ⅱ』をどう描くのか、アニメオリジナル要素はあるのか、首を長くして配信を待ちたい。