春アニメ『シェンムー・ジ・アニメーション』第4話が配信された。
ここでは原作ゲームを最新作『シェンムーⅢ』まで全てクリア済みの自分から見た、アニメ版の感想を語っていこうと思う。
父宛の手紙にその名が書かれていた陳大人に出会い、手紙の差出人・朱元達が香港にいると知った涼。
父と朱元達とを結ぶ重要なアイテムである石で出来た2枚の鏡のうち、龍鏡は藍帝が持ち去った。
残りの1枚である鳳凰鏡を見つけ出した涼は、父の足跡を追って香港に渡ることを決意する。
第3話の感想はこちら。
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第4話では、香港への旅費を稼ぐために港で働き始める涼が描かれる。
・無事だった豚の貯金箱
香港行きの資金が足りない涼に、兄弟子の福さんは餞別として自分の貯金箱を差し出してくれる。
昔懐かしい豚の貯金箱である。
アニメでは下にあるフタを外して中身を出すタイプであったが、ゲーム版では割らなくてはならず、それを見守る福さんのちょっと切ない表情が心に残るシーンとなっていた。
恐らくアニメ版ではこの後貯金箱は福さんに返却され、再び使用されるのだろう。
せっかく貯めた中身が使われてしまうことには変わりないが、少しでも福さんの心の負担が減るかもしれないと思うとホッとする。
とはいえ、ゲームでもアニメでも福さんは快く貯金箱を差し出してくれるので、悲壮感よりもさわやかさが印象的なシーンである。
・待ちに待ったフォークリフト
『シェンムー』の代名詞とも言えるフォークリフトがついに登場した。
ゲームではプレイヤーが実際にフォークリフトを操縦し荷物を運ぶというミニゲームがあり、お仕事体験とでもいうべきその斬新さで話題を呼んだ。
アニメでは涼が不慣れなフォークリフトの操縦にとまどう様が描かれる。
自分もゲームプレイ時には涼と同じくおぼつかない運転を繰り広げ、荷物もなかなか上手く真っ直ぐに置けなかったため懐かしい光景であった。
レースはさすがに開催されないようだが、フォークリフトを見ているだけで必ずぶつかるジャマな出っ張りや、ちょっとだけできるショートカットなどが脳裏にまざまざと蘇ってきた。
レースがあまり得意でない自分でも、なんとか近藤さんは抜いて4位になることはできるため、「4」が書かれた賞品のミニフォークリフトばかりが集まったことや、試しに逆走してみて審判役のマークに怒られたことも懐かしい。
そんなマークだがアニメ版では涼のことが初めは気に入らず、簡単な説明のみで現場へ送り込み、彼が悪戦苦闘する様を傍観していたのが印象的だ。
だが、涼とゴローの話を耳にして自分の誤解に気づいてからは親切にしてくれるようになる。
ゲームではそこまでクローズアップされなかったマークだが、徐々に心を開いてくれる様子が丁寧に描かれていたことからも、どうやらこの先も彼の出番はありそうだ。
原作ではついに語られることはなかったマークの弟の行方について、アニメでは明かされるのか注目したい。
・ダイナミック過ぎるバイクの借り方
マッドエンジェルスにさらわれた原崎を助けるために、涼はバイクで港へと向かう。
ゲームでは穏便な方法でバイクを借り受けていたが、アニメでは伝言役のマッドエンジェルスに飛び蹴りを食らわせてバイクを拝借するというワイルドな手段がとられていた。
大変合理的な方法であると納得すると同時に、その勢いにちょっと笑ってしまったシーンでもある。
また、17番倉庫に向かう描写は省略されていた。
ゲームではここで時間制限のあるバイクのミニゲームが挟まり、自分は何回もタイムアップしてしまい、「だめだ!もう間に合わない」を繰り返し聞くことになった。
それまでバスを待つ間に眺めるだけだった道路に実際に降り立ち、夜の町並みを抜け、トンネルを潜り抜けバイクで疾走するのはエキサイティングな体験であった。
リトライを繰り返しながらクリアした時の達成感と安心感はとてつもないもので、第8倉庫潜入と甲乙つけがたいほどである。
・伏線その1 地面に書かれた「17」
アニメ版のゴローは大活躍している。
涼にのされて手のひら返しをしたり、バイト探しの手伝いをしてくれるところはゲーム版でも同じだが、港の案内や父親についての打ち明け話などアニメ版では彼に関して足されたエピソードが多いようだ。
ゴローがレクチャーした、地面に書いた数字で空き倉庫を知らせて仲間を呼ぶという設定はアニメオリジナルであり、次回、涼がピンチを切り抜けるにあたりこの仕組みが重要になるのは間違いないだろう。
17番倉庫にはテリーたちがたむろしていたが、今は涼と貴章のバトルを見るために全員出払っていると思われる。
そこに戦闘力としてそれほど当てになるとも思えないゴローたちを集めてどうなるのか。
この伏線の回収を楽しみに待ちたい。
・伏線その2 同じ技による貴章との相打ち
原崎を人質にとられた涼は貴章を倒すことになる。
突然戦いを挑む涼にとまどう貴章だが、すぐに応戦し、2人は熾烈なバトルを繰り広げる。
最後に2人が同時に放ったのは、貴章が涼に伝授した技「燕旋降脚(えんせんこうきゃく)」であった。
この技で相打ちとなった2人は地面に崩れ落ち、それを見ていたテリーは自分の天下を確信して高笑いをする。
貴章とのバトルはゲームにもあるが、同じ技で相打ちとなるのはアニメ独自の筋書きである。
自分はこれは涼と貴章が一芝居打っているのだととらえた。
まず、あの状況で涼が技を教えてくれた貴章に対して、あえて燕旋降脚を使う必要が無いため、2人が同じ技を放ったこと自体が作為的であると感じる。
もしかすると技が伝授されるシーンが具体的に描かれていなかったのは、教わる際になにか合図のようなものを一緒に伝えられたのかもしれないとも思えてくる。
その技を出したらやられた振りをするなど裏の意味があるのではないだろうか。
そうでないと2人同時に倒れたことも、彼らの強さを考えるといささか不自然である。
また、貴章の立場からすれば、涼が突然襲ってきて、それをまわりでテリーたちが見ているのだから状況を把握するのは難しいことではないだろう。
あえて倒された風を装って敵を欺くという考えに至っても不思議ではないのかもしれない。
ただ、それは一時しのぎにしかならないだろう。
もし本当に2人が倒された振りをしているのであれば、この後一体どうするつもりなのか、次回が気になって仕方ない。
第4話では、かなりアニメオリジナル展開が多く、新鮮な気分で見ることができた。
これまでは1話ずつ割と区切りよく終わっていたが、今回は先の展開が気になるシーンで終わったため、これまで以上に続きが待ち遠しい。
上に挙げた2つの伏線が回収されるのかも合わせて第5話を楽しみにしている。