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アニメ『シェンムー』第8話感想 そうは見えぬが武術の達人

老若男女だれでも達人の可能性あり



春アニメ『シェンムー・ジ・アニメーション』第8話が配信された。

ここでは原作ゲームを最新作『シェンムーⅢ』まで全てクリア済みの自分から見た、アニメ版の感想を語っていこうと思う。

 

第7話の感想はこちら。

 

gameandbooknadonado.hatenablog.com

 

 

99年どこから出てきた?

今回、ジョイと芳梅の口から「99年早い」という言葉が出てきたが、これは原作ゲームにはない言い回しである。

これまでのアニメの中にも登場していない。

 

シェンムーの生みの親、鈴木裕氏の代表作の1つ『バーチャファイター』のアキラというキャラクターの決め台詞に「10年早いんだよ」というものがあるが、なにか関係があるのだろうか。

 

100年早いんだよというフレーズはあるが、1つ引いて99年とした理由が気になる。

 

 

和泉のバイト先がスーパーマーケット

彼女にもっと会いたい人はゲームをプレイしよう

 

日本人留学生和泉のバイト先はコンビニのトマトマートではなかった。

 

思い返せば横須賀編でもトマトマートは登場していなかったので、あえてコンビニにする理由がなかったのかもしれない。

調べてみたが86年当時の日本ではコンビニは結構普及しており、ゲーム版の横須賀にトマトマートがあることは時代考証的にはおかしくはなかったようだ。

 

それにしてもアイリンといい和泉といい、武術の心得があるキャラクターはとりあえず相手の実力を推し量りたくて仕方ないようなのがどこか微笑ましい。

 

 

秀瑛の覇気

街角でチンピラに因縁をつけられていた兄妹を助けに入る秀瑛。

よく見るとチンピラの持っていた鉄棒は、彼女の握った部分だけが凹んでいた。

 

秀瑛は無言で立っているだけで相手を圧倒してみせる。

彼女が少し足を動かしただけでチンピラはその場を後にするのだが、これは逃げるタイミングを与えてあげたということなのだろう。

 

前回登場した武徳「戒」の通り、むやみに拳法を使わず、みだりに技を見せるわけでもなく、チンピラを追い払ったのは見事である。

普段着姿であり、一見ただの買い物帰りの女性のように見えるのに実は強いというのも、前回の「本当に強い人はそうは見えない」という話の続きであるかのようだ。

 

 

紅南街の武術の達人

上の「本当に強い人はそうは見えない」の実例がここでも増えていく。

たびたび登場していた老婆、桂香さんが実は武術の達人なのである。

 

シェンムー』のお約束の「老人が実は強キャラ」がここでも繰り広げられていく。

そして、そういう展開が自分は大好きなのである。

今回は彼女の実力を見る機会はなかったが、いずれ披露してくれるのだろうか。

 

 

バランスをとるのが苦手な涼

アニメの涼はQTEに失敗しがち


文武廟の書庫で、上の段の本を取り出している最中、涼はバランスを崩して足場から落っこちる。

以前自宅で鳳凰鏡を探している時に、道場にある額の後ろを見ようとして踏み台から落ちたことを思い出した。

 

どちらもゲームならQTEが発生しそうなシーンである。

 

ゲーム以上にアニメ版の涼はバランスをとるのが苦手なようであり、芳梅に「高いところは私がやりますから」とまで言われてしまう始末である。

大雑把だの遅刻をしただの芳梅に言われっぱなしのアニメ版の涼はどこか親しみやすさを感じさせる。

 

 

隠れていた復讐の念

涼は秀瑛に心に復讐の念を抱いていることを見透かされてしまう。

そして、そのことを自分でわかっているはずだと言われる。

 

自分はこの展開は予想外だった。

ゲームではたしかに父の仇を討つというのが涼の目的だったが、アニメでは父の無実を証明するために旅に出たのだと認識していたからだ。

 

秀瑛の話を聞きながら涼は頬の傷に手をやる。

この仕草は、たびたび作品内でも描かれてきた。

自分はこれが父の潔白を晴らしたいという決意を再認識するためにしている行動なのだと思っていたが、こうなるとまた話は違ってくる。

頬の傷と父の死がどちらも藍帝によってもたらされたものとして涼の中で強く結びついており、絆創膏に触れるたびに復讐の念を強くしていたということだったのだろう。

 

それを思うと涼の心情はかなり複雑なものになってくる。

父の潔白を証明したいと涼は何度も口にして、周囲もその言葉を信じ、彼を応援してきた。

涼自身、本当にそれを願ってもいるのだろう。

だが、彼の真の目的は復讐であり、秀瑛の言葉をそのまま受け取るならば、藍帝の命を奪おうとしているということになる。

 

一体いつから涼は復讐の念を自覚していたのだろうか。

実のところ、香港に来てから涼はかなり焦っているように思えていた。

「ここでこんなことをしている場合じゃない」

そういった言葉をよく口にしている印象がある。

一刻も早く父の無実を証明したいという意味にもとれるが、そこまで急ぐことに正直しっくりこないものを感じていた。

だが、ここに来て敵討ちの話が持ち上がると、その焦燥感にも納得できる。

 

横須賀では地元で親しい人たちに囲まれて、「日常」の中に涼はいた。

だからこそ彼の心のなかで、復讐という暗い面よりも潔白を証明したいという明るい面にスポットが当たっていたのかもしれない。

そして香港という「非日常」の世界にやってきて、藍帝のいる闇の世界に近づいていくことで涼の中から一人の高校生として父を思うという面が薄れていき、隠れていた復讐者としての顔がのぞくようになってきたのだろうと自分は解釈した。

 

これまでゲームとアニメで異なっていた涼の目的がここで一つに合流したことになる。

一体この先、どういう展開になるのか想像がつかない。

涼は自分が復讐心を抱いていることを口に出しては認めはしなかった。

最後の武徳を知った後、涼は自分の目的を改めてどのように説明するのだろうか。

 

 

第9話を楽しみに待ちたい。