現在世界三大ゲーム祭りの一つ、東京ゲームショウが幕張メッセで開催されている。
次から次へとゲームの情報が公開され、ゲーマーは嬉しい悲鳴をあげているだろう。
新作タイトルや人気タイトルの続編も話題になる中、自分の目に信じられないようなニュースが飛び込んできた。
Twitterをなんとなく流し読みしていたときのことである。
『幻世酔虎伝』
という文字が見えた気がした。
一瞬のことで、指は止まらず画面をスクロールしてしまった。
え?
今なんか……
いや、まさか……
おそらくほとんどの人が知らないと思うので説明すると、『幻世酔虎伝』とは『ぷよぷよ』を生み出した会社「コンパイル」が発行していたPC用ゲームソフト付きの雑誌、Disc Stationに収録されていたRPGである。
ちなみに発売されたのは1997年とかなり昔だ。
酔拳を使うアターホーという虎(獣人)のおっさんを主人公にしたアジアンテイストな世界観の作品で、ジャッキー・チェンの映画『酔拳』にハマっていた自分は夢中になってプレイしたのだった。
期待するな、きっと見間違いだ。
自分に言い聞かせながらも、体は一気に緊張状態に突入し、無意識のうちに息をひそめていた。
慎重な手つきでTLを遡る。
ツイート元はハピネットという会社だった。
TGS試遊タイトル「幻世酔虎伝」
見間違いじゃない。
知る人ぞ知る名作
とある。
たしかに自分の知っている『幻世酔虎伝』ならそう呼ばれるのもうなずける。
Disc Stationが当時どれだけ売れていたのかは知らないが、そこまで全PCユーザーが買っていたとも思えない。
いや、待て。
喜ぶのは早い。
もしかして自分が知らないだけで、他にも『幻世酔虎伝』というゲームがあるのかもしれない。
ツイートには画像も添付されていた。
展示パネルらしきものには、一人のキャラクターが描かれている。
リンシャン(『幻世酔虎伝』のヒロイン)だ!
これはもう間違いない!
テンションが一気に上ったが、なんとか冷静さを保とうと自分を押し留めた。
待て待て待て、これはなんの「試遊」なんだ?
懐かしのゲームを遊ぼうとかそういう企画なのでは?
そのツイートだけでは詳細が分からなかったので、タイトル検索すると、
あ!
ゲームメディアの4Gamerが記事にしている!
しかも9月1日と、結構前だ。
ハピネットがコンパイルの『幻世酔虎伝』Switch版の試遊を東京ゲームショウに出展予定、という記事だった。
リンクからハピネットの特設サイトに飛ぶと、タイトルの下には「Switch」の文字が。
よし、Switch移植は確実。
さらにパブリッシングを担当する韓国の会社DAEWON MEDIAのサイトへと飛んだ。
『幻世酔虎伝』は、COMING SOONのタイトルになっていた。
発売時期は未定か。
それにしても、知らなかった……!
どうやらこのことを記事にしているのは4Gamerだけのようだったが、自分の巡回サイトに入っていなかったので見落としていたのだ。
こんな重要な情報を2週間近く知らずにいたとは、ゲームニュースチェックを日課としている自分としては不覚をとった(?)としか言いようがない。
偶然あのツイートを見ることができてよかった。
あらためて『幻世酔虎伝』が20年以上の時を経て、Switchで遊べるようになるという事実を喜びたい。
あのトボけた虎のおっさんアターホーが、
スケベ犬忍者スマッシュが、
強気な猫少女(?)リンシャンが、帰ってくるのだ!!
『幻世酔虎伝』のストーリーについてはもはやうろ覚えなのだが、とにかく楽しかったという記憶だけはハッキリと残っている。
主人公がのんびりとした口調で話す、ジト目の虎のおっさんというのも珍しくて印象に残っているし、仲間たちとのコミカルなやりとりはクスッと笑えるものばかりだった。
戦闘中に消費アイテムの酒を飲みながら酔拳を使って戦い、酔っ払うと「大虎」状態になって制御不能になるというのも面白かった。
実はここ最近このゲームのことを思い出すことが多かった。
それは来年発売される『ストリートファイター6』に出てくる酔拳使いのジェイミーというキャラを見るたびに、酔拳つながりでジャッキー・チェンだけでなくアターホーも一緒に頭に浮かんできていたからだ。
しかしもはや「懐かしい思い出のゲーム」となっていたこのタイトルを、再び遊ぶことができるようになるとは夢にも思わなかった。
今回の東京ゲームショウで知ったニュースの中で一番のサプライズである。
続報が待ち遠しいゲームがまた一つ増えた。
明日東京ゲームショウに行く予定の人は、ハピネットブースでぜひ『幻世酔虎伝』をチェックしてみてほしい。