春アニメ『シェンムー・ジ・アニメーション』第2話が配信された。
ここでは原作ゲームを最新作『シェンムーⅢ』まで全てクリア済みの自分から見た、アニメ版の感想を語っていこうと思う。
第1話では父が過去の因縁で殺害され、涼がその真相を知るため独自に調査に乗り出そうと決意するまでが描かれていた。
第1話の感想はこちら。
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第2話では、父宛てに届いた中国語で書かれたとおぼしき手紙について調べ始める。
中国の少女シェンファ視点のシーンには、『シェンムー3』のキャラクターが登場した。
あいさつをした大柄な男性、シェンファに話しかけた青年、そして昔語りの葉(ヨウ)ばあさん、子どもたち。
彼らはみな『3』で涼が出会うことになる人々である。
アニメでは『2』までの内容が描かれていると思っていたため、これは嬉しいサプライズだった。
『3』をこれからプレイする人は、アニメで白鹿村のことを予習した上で現地を訪れることができ、見覚えのある場所やキャラクターが出てくる喜びを感じることができるだろう。
・続々登場!おなじみのドブ板の人々
第2話では、ゲームではおなじみの商店街の人々が次々に登場した。
バイク店、ラーメン店、ミリタリーショップ、バーのマスター、タトゥーショップ、ゲーセンのバイカーたちも懐かしい。
それぞれ短いカットに過ぎなかったが、プレイ済みの人ならば本当の知り合いに出会ったようにその名前や彼らとのやりとりが頭にパッと浮かんできただろう。
ちょっとした同窓会のような気分である。
個人的にはラーメン店の出前の王(ワン)さんがジュース片手に自動販売機の前にいるシチュエーションだけでちょっと面白くなってしまった。
プレイ済みの人には分かると思うが、彼と言えば自動販売機なのである。
・山岸老人たちの心配と応援
父の知人であった山岸老人は原作ゲーム以上に活躍する。
なにかと涼のことを気にかけてくれて、「まわりの大人が彼を止めないといかんだろう」とまで言ってくれる。
涼への心配が伝わるこのセリフにはちょっとジーンと来てしまった。
自分は昔、ゲームをプレイしている時は涼に感情移入していた。
ゲーム内の一日のタイムリミットである22:30を過ぎると強制帰宅するのが歯がゆかったし、心配して玄関先で涼を出迎えて「なるべく早く帰ってきてください」と言うお手伝いの稲さんは過保護過ぎると感じていた。
だが、今になると稲さんの心配も無理ないと思うのだ。
涼は父が亡くなる前までは毎日学校へ通い、部活と受験勉強に明け暮れるごく普通の高校生だったのである。
それが事件が起こってからは高校にまったく行かなくなり、毎日朝から晩までいろいろな人を捕まえてはただ事でない話題について聞き回るようになる。
涼を小さい頃から見守ってきた人々は彼の普通でない様子に懸念を抱くだろう。
アニメでは最終的に兄弟子の福さんをはじめ、山岸老人も涼の信念に理解を示し、彼を応援してくれるようになる。
ヒロインの原崎も涼の決意は知らなくても積極的に手伝いを買って出てくれるなど、アニメ版では涼と周囲の人々との関係をより丁寧に描写していると感じた。
・「その者」とは涼のことなのだろうか?
繰り返し登場する「その者、東の遠つ国より」で始まる詩。
今回この詩は白鹿村に伝わるものだということが明かされたが、「その者」とは何か?という疑問が投げかけられる。
ストレートに考えると「その者」とは涼のことであり、この詩は涼とシェンファのこれからの運命を予言しているものだと思われる。
ただ、自分はずっと長い間「彼の身 滅ぼすことも」という一節が気にかかっていた。
これが予言の詩であるならば、涼は破滅するということになってしまうからである。
前回も述べたように、自分は涼が幸せな老後を送ることを望んでいるため、そんなことになるとは信じたくない。
そうなると、これは「未来」ではなく「過去」の出来事を語っているのではないかという仮説が浮かんでくるのである。
この詩の内容はすべて過去に起きたことであり、それがいかにも予言に思えるように、ミスリードされているのではないかという説を唱えたい。
第2話も見どころが満載であり、ここでは語り尽くせないほどであった。
原作ゲームそのままのシーンには思わず身を乗り出してしまったし、オリジナル要素もストーリーをより深堀りする方向で加えられており、興味深く視聴することができた。
ラストで一瞬映ったところを見ると、第3話では「彼ら」が登場するようで、その出番を心待ちにしていた自分としてはついに来たぞという気持ちである。
来週が楽しみで仕方ない。