昨日のファミ通・電撃ゲームアワード2021授賞式にて、『バディミッションBOND』(任天堂/Switch)は4部門にノミネートされ、その中でアドベンチャー部門最優秀賞を受賞した。
また、同作は昨年10月に行われた日本ゲーム大賞2021で優秀賞も受賞している。
どちらの賞も一般投票を行ったのち、選考委員会によって受賞作が決定する方式を取り入れている。一定数の票を集めることの出来る本作は高いユーザー支持を得ているゲームであると言えよう。
だが、これらの受賞結果を見たゲームプレイヤーの中に、『バディミッションBOND(以下、『バディミ』)』というタイトルを知らなかったという人も多かっただろうと思われる。
そこで、『バディミ』がなぜこんなに人気があるのか。その理由を自分なりに考えてみた。以下の3点を挙げたい。
・魅力的なシナリオがプレイヤースキルに関係なく楽しめる
・地に足のついたキャラクターと彼らの織りなすバディ
・クリア後も『バディミッションBOND』の世界に浸れる公式活動
順を追って説明していく。
・魅力的なシナリオがプレイヤースキルに関係なく楽しめる
本作はアドベンチャーゲームであり、フルボイス収録されたメインシナリオを読み進めることでストーリーは進行する。
物語全体としては、実体のない犯罪組織「DISCARD」の正体に迫っていくことを主軸としている。
「DISCARD」に繋がる手がかりを得ていく中でその陰謀を知ることとなるが、その目的などは始めは謎に包まれている。
また、メインキャラクターについても、序盤で謎が提示されており、それらがストーリー進行と共に明かされていく。
この2つの謎をはらむ物語は「ミッション」と呼ばれる章立てで語られ、各ミッションの終わりでは必ず驚くような展開が待ちかまえている。
先が知りたくてプレイする手が止まらなかったというプレイヤーも多いはずだ。
本作は伏線の張り巡らせ方とその鮮やかな回収も見事で、すべての謎にきちんとした回答が出されて物語は収束する。
気持ちよくすっきりと終わることができ、それが高い満足感に繋がっていると考えられる。
一方で、本作はスリリングなアクションシーンも見応えがあり、絶体絶命のピンチに陥ってからの大立ち回りなど、手に汗握る展開が目白押しである。
全編を通してハラハラドキドキが持続する作品と言えるだろう。
本作のアクション操作としては、タイミングよくボタンを押すQTEが挙げられる。
だがこれは失敗しても何度でもやり直すことができ、また本作にはゲームオーバーが無いため、メインシナリオを読む上では支障とはならない。
難しい操作無しで、基本読み進めるだけで『バディミ』の面白いストーリーを味わうことができるところも幅広い層に受け入れられている一因となっているだろう。
・地に足のついたキャラクターと彼らの織りなすバディ
『バディミ』では「ミッション(メインシナリオ)」「バディエピソード」「サイドエピソード」の3つのカテゴリでメインキャラクターたちの背景について語られていく。
彼らの幼少期から遡り、現在の人となりを形作った理由が丁寧に説明されていき、なぜその職業に就き、今のような性格になったのかが複数のエピソードを通じて理解できる作りとなっている。
特に「バディエピソード」はメインキャラクター4人のうち2人からなるバディを描いたエピソードであり、それぞれの関係性によってキャラクターの立ち振る舞いも異なり、相手によってシリアスな一面を見せたり、コミカルな顔をのぞかせたりする。
様々なシチュエーションを通して一人のキャラクターを多面的に表現することで、決してテンプレではない血肉の通った人物像を描き出すことに成功していると思われる。
キャラクターたちに魅了され、エピソードを夢中になって追い続けたプレイヤーたちは、クリア後には彼らのことを昔からよく知っているように身近に感じているのはないだろうか。
そして、それらのキャラクターたちの関係性の変化も、本作の見所である。
メインシナリオではルーク&アーロン、モクマ&チェズレイの組み合わせのバディにスポットが当てられており、彼らは「打倒DISCARD」の旗印の元、協力する中で時にぶつかり合う。
序盤ではこの2組のバディが一体どのような結末を迎えるのか想像がつかず、彼らの行く末が気になってプレイを進めた人も多いだろう。
また、これら2組のバディについては、メインシナリオだけでも十分に描ききってある。
ストーリー進行に従って彼らの関係性の変化を見守ることができ、「バディエピソード」にまで手が回らなかったり最後にまとめて読んだプレイヤーでも置いてきぼりにされることはない構成となっている。
衝撃的な展開の連続で描かれるバディの物語は、エンディングを迎えた後でも余韻を残し、数々の名場面や名ゼリフとともに、プレイヤーの心に焼き付いて離れないだろう。
・クリア後も『バディミッションBOND』の世界に浸れる公式活動
『バディミ』は一本のゲームソフトで物語が完結している。だが、2021年1月29日にゲームが発売されてからこの約一年間、公式は『バディミ』に関するコンテンツを継続的に出し続けている。
公式Twitterでの活動に始まり、サントラやグッズの販売、オンライン形式での朗読劇やコンサートイベント、後日談となるドラマCD3種などがそれに当たる。
ゲームをクリアしてもまだまだ本作の世界は広がり続けており、常に『バディミ』の次のコンテンツを楽しみに待ち続けることができる一年間だった。
次々に新作ゲームが出続ける中でも本作を支持し続けるプレイヤーが多かったのも、作品自体の完成度はもちろん、絶え間ない公式の活動によりこの一年『バディミ』の存在を忘れることが無かったことも大きいだろうと思える。
とはいえ、これらのコンテンツは『バディミ』をプレイする上で必須のものではない。ゲームのストーリーは本編で綺麗に終わっているので、公式活動を追っていない人でも十分に本作を楽しむことができる。
まとめ
以上3点が自分の考える『バディミッションBOND』の人気の理由となる。
興味を持った人は、0章~1章まで遊ぶことができ、本編に引き継げる体験版が配信中のため、ぜひプレイしてみてほしい。また、本作はニンテンドーカタログチケットにも対応している。